産卵から約2ヶ月すると,タマゴの中には親ガメとほぼ同じ形をした子ガメが育っています。 子ガメはまず自分の入っていた卵の殻を破り,砂の中に脱出すると, 兄弟たちと力を合わせ,砂の天井を崩し,地上へと向かいます。 |
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卵の中で十分に発達した子ガメは, 上あごの先端にある「卵角(らんかく)」を 使って卵のからを破り,外に出てきます。 これを「孵化(ふか)」といいます。 |
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孵化したばかりのお腹に豆粒のような卵黄と 不要になった胚膜をつけています。 また小さな体を折り曲げるようにしていたため,お腹には入り目の筋が残っています。 |
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数日後,胚膜がとれ,卵黄を吸収した子ガメは活発に動き始め,今度は地上への脱出にチャレンジします。 卵はほぼ同じ時期に孵化するため,何十匹もの子ガメが産卵巣でもがくことになり,数十cmの砂の天井が徐々に崩れはじめ,子ガメが地上に登ってきます。 |
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孵化から脱出まで数日間から1週間かかります。 中には,卵や砂から脱出できずに,死んでしまうものもあります。 もし,産卵走の上を車や人が通ったりして,産卵巣がふみ固められていたら,どうなるでしょう。 想像がつきますね。 また,途中台風などの大雨で,水が卵の呼吸が妨げられると,卵は死亡してしまいます。 |
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砂の中で卵が無事孵化するためには,適切な環境が必要です。 発育可能な温度は約24〜33℃。この範囲外では胚の成長が途中で止まって死亡してしまいます。 発育速度は孵卵温度に影響されるため,アオウミガメは32℃の温度では50日孵化しますが,24℃では80日あまりもかかります。 孵化する子ガメの性決定も孵卵温度に影響されます。 |
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砂の中の子ガメたちは夜動き出します。 地上に1匹出てくると,次々と頭を出し,みんな海へと向かいます。 砂の上には,産卵巣から波打ち際まで子ガメの歩いた足跡がたくさん残ります。 砂からでた子ガメは正の走光性(そうこうせい)という明るい方に向かう修正があります。暗い山側でなく,明るい海側に子ガメたちが向かうのはその習性のせいです。 街の光が強かったり,人がライトで照らしたりするとなかなか海へたどりつけず,体が乾燥したり,体力が消耗してしまったりして,死亡率も高くなってしまいます。 |
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人工の光に惑わされなくても,海へたどりつくには様々な障害があります。 人の捨てたゴミであったり,車の轍,人の足跡もそうです。 また,スナガニやヤドカリ類に捕まってしまうものもいます。 (写真はヤドカリに捕まった子ガメ) |
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やっとの思いで,海へたどり着いたとしても コガメをおそってくる魚もいます。 人間の手で,人間の都合で昼間に放流すると, その危険性がとても高くなるといわれています。 |
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