カヒルトナ氷河へ

天候も回復し、いよいよ出発である。セスナに、先輩達が先に乗り、一番最後に乗った。 シェルドンの横すなわち副操縦席に乗る事になる。目の前に、操縦桿が正式なものと同じように並んでいる。ブルブルと機体を震わせながら、8人を乗せたセスナは、何とか飛び上がる上空で機体が安定した所で、シェルドンが両手を離し、『どうだ操縦してみないか?』と言ったので(英語が判ったわけでなく、ゼェスチャ−で判った)操縦桿を握り、まずは引き上げると、機体は上昇、押すと降下、右に回すと右旋回、左に回すと左旋回、意外と簡単だ。シェルドンは『ベリーグー』と言いながら、しっかりポイントは押さえていた。
眼下には、カリブー(大鹿)の群れが走っている。大きな山脈を越えると、正面にマッキンリー(6191m)、その左側に、Mt.フォーレーカー(5303m)がそびえていた。セスナはゆっくりとしたスピードで、山と山の間を降下し、カヒルトナ氷河の端っこに我々を降ろすと、あっという間に飛び去って行った。急に静寂がおとずれる。
 6人は、しばらくの間、この大パノラマに見惚れ、声出すのを忘れていた。Mt.ハンター、Mt.ハンティングトンなど4000〜5000m級の山々が、身近に迫ってくる感じだ。小1時間、首がだるくなるほど、見上げた後でテントを張る。アラスカは白夜なので、日が暮れるのが夜中の12時を過ぎる。夜と言っても黄昏程度に暗くなるくらいで、2時間もするとまた日が昇る。夜がなく、オーバーワーク気味なってしまう。

Mt.マッキンリー(左)とMt.ハンター(右)