青春を山に賭けて

一冊の本が、人生を、変えることがある。その本とは、植村直己の青春を山に賭けてである。この本を手にして読むうちに、山登りはしたことはなかったけれど、すごく勇気とファイトが湧いてくるような気がした。

山登りにのめり込む

 そんな時、会社の徳増先輩が、ハイキングに誘ってくれた。それは、赤目四十八滝巡りであったけど、田舎育ちのせいか凄く嬉しくて、母親の懐にいるような安らぎをおぼえた。聞く所によると会社に、山岳部があるとの事、これだと思いすぐ入部した。
 秋からは先輩達と、ハイキングによく行った。そして、六甲さんでロッククライミングを、経験した。それは、凄いインパクトですぐに虜になっていった。
 その年の冬は、岩登りや近くの山に、積雪登山にもよく出かけた。スキーにも何回か行った。三月には、八方尾根にスキー&登山も行き、雪上にテントを張り、冬山の気分を味わった。五月には、本格的な雪山登山を、憧れの立山で経験した。ピッケル、アイゼンなどを使い雄山に登山した。夏には、岩登りに懲り、毎週日曜日に行っていたけれど、ついに、六甲山にテントを張り、そこから通勤するようになった。パートナーは、同僚の伊中君であった。しかし、一週間ほど経ったある日、どうも、幽霊らしい声に出会い、恐ろしくなり、逃げてしまった。

小豆島親指岳にてロッククライミンクを楽しむ。

山学会に入会

 また、冬がやってき、関西山岳連盟主催の冬山登山講習会が、御嶽山で実施され参加した。大変なパワーでラッセルしたのがよかったので、有名な山岳会紫学会のリーダーの方から入会しないかと言われ有頂天になった。が後でよくよく考えてみれば、単なるおだてだった様な気もする。
 それを機に、自信を持ち山岳会への入会を真剣に考えるようになった。会社の先輩に、関西登高会の人がいて、入る気があれば、一度参加してみたらと、それではと思い参加したのは、夏の暑い日のことであった。一応それなりの格好はして行ったのだが、いきなりザックの中に石を入れられスタート。体験入会なのにいきなりボッカとは・・・結果は、いわずと知れた事、バテバテで食べ物も喉を通らないくらいだった。
その日は、何となく終わり、こんなしんどいなんて、絶対にいやだ−と思ってはみたが、ばてた自分が情けなかった。異様なくらいに疲れたが、凄い充実感を味わい、インパクトを感じた。二、三日考えたあげく、ここで逃げたら一生逃げるような人生を、送るような気がして、思いきって入会する。