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暖かく見えたり、涼しげだったり、ファブリックの色づかいで部屋の印象はずいぶん違ってきます。
色は不思議な魔術師。色のマジックをファブリックに上手に利用して、部屋の快適度を高めてみてはいかが。
 色のマジックは、まず温度の話からスタートです。色をグループ分けするときによく使われるのが、暖色と寒色。赤やオレンジ色は
暖かくみえ、ブルー系の色はひんやりと感じられます。色自体には温度などないのに、その色から連想するものによって心理的に
感じる温度には差が生まれるのです。実際に調査してみると、体感温度に3℃も開きがあったそう。季節ごとにファブリックをすべて
替えるのは無理でも、クッションなどの小物に暖色と寒色を上手に取り入れれば、より暖かく、より涼しく過ごすことができます。

 さて、暖色と寒色には、もう1つ大きな性格の違いがあります。暖色と寒色の部屋では、感じる時間の長さにも差があるのです。
赤い部屋と青い部屋で同じメンバーに45分ずつトランプをしてもらったところ、赤い部屋では実際の2倍の時間を感じ、青い部屋では
約半分の時間しか感じられなかったという実験があります。時間がゆっくり流れるのが暖色の部屋。素早く過ぎるのが寒色の部屋
です。だから、もし好きな人となるべく長くいっしょにいたいなら、ファブリックを暖色でまとめると、充実した気分が味わえるわけです。
逆に仕事をてきぱきこなしたいスペースは、寒色づかいにすると効率よくこなせた気分になりれます。

 暖色、寒色のなかでも、赤と青は極端に性格の違う2色です。世界中どこの国でも、“止まれ”の信号は赤、その訳をしっています
か?闘牛で使われる赤い布からもわかるように、赤という色には心を高ぶらせる作用があります。信号の赤は、見る人を興奮させて
緊張感を与えるための色というわけです。友人を招いてにぎやかに過ごしたい人は、暖色のファブリックでまとめるといっそう盛り上
がるかもしれません。さて、暖色に対し、心を沈静させる作用をもつのがブルー系の色。ストレスをかかえて疲れた心身をいやす部屋
には寒色のコーディネートがおすすめです。ただし、暗めのブルーばかり使いすぎると、文字どおりブルーな気分に陥ることもあるの
で気をつけて。
 自然の中にいると不思議と心がやすらぐのはだれもが同じ。ハードなスケジュールで疲れぎみの人は、部屋の中に自然の色を取り
入れるだけでもずいぶんリラックスできます。木の葉の緑、木肌の茶色、石の色、土の色、空の色…。自然は色の宝庫です。なるべく
自然素材に近い色でファブリックをまとめてはいかが。
 白を含んだ淡いトーンのパステルカラーは、甘くやさしい雰囲気で、これもまた、心を落ち着かせる効果が期待できます。たとえば、
赤いクッションとピンクのクッション。材質が同じでもピンクのほうが柔らかくふかふかしてみえます。ベッドのファブリックなどもパステ
ルカラーにするとやさしさに包まれて眠れそう。
 さて、積極的に元気になりたい人なら、思い切ってビビットな色づかいをしてみるのも手です。ビビットとは、彩色の高い色、つまりや
白や黒を含む量が少ない色のこと。情熱いっぱいのラテンの国では、その気分に左右されるのか家そのものもカラフルにペイントされ
ています。ビビットカラーは心を少し興奮させ、開放的にしてくれる色。ただし、目に入りやすい分、印象が強いのでポイントづかいにす
るなど、使う面積は少なめにするのが上手なコーディネートのこつです。
 色には狭く見えたり、広く見えたりする性格の違いもあります。たとえば、同じサイズの白い点と黒い点では、黒のほうが小さく見え

ます。黒い服が好まれる最大の理由もスマートに見えるから。また、白と黒では重さも違い、白のほうがずっと軽く感じられます。実際

に、ある運送会社で荷物の色を白っぽく変えたところ、効率が良くなったという話もあります。濃い色は下に置き、淡い色は上に配置

すると、安定感が生まれ、視覚的効果で空間が広く感じられます。また、全体を同系色でまとめて、床と壁につながりをもたせるのも

空間を広く見せる方法の一つです。
 ファブリック使いでもう一つ大切なのが、柄選びです。プリントのブラウスに無地のスカートを合わせるように、インテリアでも柄には

その柄の中の1色の無地を合わせるのが、一番無難な方法です。が、チェックと花柄のように柄物どうしでも色合いをそろえれば

統一感のある組み合わせになります。また、縦縞プリントなどは、カーテンに使うと天井を高く見せる効果があります。これも背を高く

見せたいときの着こなしと同じ。洋服のコーディネートの技を上手に取り入れれば、ファブリック使いはさらに楽しくなります。
オレンジページ・インテリアより抜粋