廊下を走る子への指導             2002年12月・記  内山 義朗
 
 私のやっている裏技は多い。いつもいつも同じことを繰り返し言われたってあまり効果はない。
 ちょっと変化があれば伝わる。日によって使いわけるのも面白い。
 「廊下を走るな!!」と怒鳴ってばかりいるよりも効果は大きい。それに指導を楽しめるから精神衛生上も効果的。とりあえず10例示す。
 これは以前やっていた。ここからは最近やっている方法。その時の私と子どもの時間的余裕などの状況によって使い分けている。
 
01 ストップ!さて、問題です。ここは、どこでしょう?(「廊下」と答えられれば「正解!」と言って終わり。答えられなければ、正解を教え第2問へ。)
 
02 第2問。今、あなたは廊下を走っていました。なぜでしょう?(理由を答えられれば「正解!」と言って終わり。答えられなければ、時間切れを表すように「ブーッ」と言い、第3問へ。)
 
03 第3問。今、あなたが廊下を走るのは良いか悪いか?(「悪い」なら終わり。しかし、走り去ろうとしたら第2問に戻る。めったにないけれど「良い」なら理由を問う。その後はケースバイケース。きりがなくなるので、この方法は、ここで打ち切り。)   
 
04 廊下を走るとお化けが出るよ。 
 
05 廊下を走るとは、いい度胸しています。(私が担当した学級・学年の子にはでは効果あり。ほかは、あまり効果なし。)
 
06 止まりなされ。おぬし、この廊下が目に入らぬか。(「目には入らない」の返事が返ってくる場合も多い。そんな子とは、その後、会話も弾む効果あり。)
 
07 待てい。廊下を走るとは100年早い。
 
08 君たち、おいでおいで。さて、問題です。あなたたちは、なぜ、呼ばれたのでしょう?(「正解!」なら終わり。答えられなかったり不正解だった場合は01の問題に進む。)
 
09 待て!うるさい!音を立てずに走れ。(走り去ろうとしたら幾度も繰り返すのがミソ。)
 
10 ちょっと待った!(と言って)「恐怖の廊下」のつくり話をする。「昔々あるところに小学生がいて廊下を走ったとさ。そして、止まれなくなって、壁にぶつかり幽霊になってしまいました。今でも、廊下を走っている子を見かける時だけ出るんだとさ。その廊下とは・・・ここだ!!!。」みたいな話。(こういうのは「学級の朝の会」や「学年集会」で話し、「今のつくり話で私が君たちに伝えたのはいったい何でしょう?」と尋ねるのも効果はある。)
 
 ほかにもあるけど、裏技の例はここで止める。ここに示したのは、いずれも内山の分類上「AさせたいならCと言え」の方法。私の一つの主張。
 道徳教育改革集団代表・深澤久氏が主張している「AさせたいならアンチA」も、私は使っている。例えば「走って、けがしろよ。」も効果的。
 岩下修氏が提案した「AさせたいならBと言え」が表技なら「AさせたいならCと言え」&「AさせたいならアンチA」は裏技。内山は、このように分類している。
 ちなみに、Aはそのままの目標。この場合「廊下を走ってはいけない」。または徳目。「人に迷惑をかけてはいけない」や「公共の場ではみんなのことを考えよ」や「きまりを守れ」にあたる。
 以上、指示や話をA・B・C・アンチAに分類している。これらは、時・場所・人(相手や指示者)・物・回数などによって効果の程が変化すると考える。
 
 事例をたくさん集めて分類し効果の程を研究し伝えていくのも価値ある仕事になる予感がする。すでにBはなされているけれど、C&アンチAも含めて分類し効果の程度まで進められた研究報告は、これまでにないはずである。
私は目にしたことがない。私の勉強不足による認識間違いで、もしもあったとしたら、どなたかお知らせください。
 
「廊下を走る子への指導」に話を戻す。 
 もちろん「けがしてからでは遅いよ。」「安心して歩けないから走らないで。」みたいな表技も大事。短く、あるべき内容を伝えてわかる子どもたちに育てる必要はある。その上で、効果が上がらない時には、こんな裏技も効果的。
 
 ただし、次の点で留意する必要がある。これ、重要。
1 誰一人走らない管理の行き届き過ぎた学校は、危険。徹底し過ぎた管理主義は子どもの個性まで潰す。
2 だいたい「子どもが全く走らない学校」の報告は聞いたことがない。「放っておけば多くの子どもは走るものだ」とも思う。要は、周りの人の迷惑や身の安全も省みない程に走る状態をこそ指導し向上的変容を促すことこそ大事。
3 (2をふまえての主張なのだが)目の前を歩く人の声が届かないほどに走り抜けていく子どもが子どもが多い状況は危険。注意すら耳に入らない程のスピードで走りさる子、注意されて逃げる子が増える状況なら学級・学校はすでに危険な状態。手をうつ必要がある。
4 (3と関連するが)「大きな声で注意しないと聞かない」さらには「怒鳴らないと聞かない」子どもを多く育てたら、もっと危険。だから、「いつもいつもの大きな声での指導」「怒鳴る指導」は、できるだけ避けた方がよい。怒鳴る方の言うことしか聞かなくなる場合がありうる。「叩く」はいないだろうが、「怒鳴る」指導(「怒鳴る」は指導と言えないけれどあえて使う)は、できるだけない方が
いい。
5「廊下を走る必要がない」状態にしながら子どもを育てるのも重要。教職員が「子どもが廊下を走ってもいい状態にしてはいないか・放任してはいないか」を検討し改善していくのも大事。
 
5について、補説する。
・ 授業終了時刻が延びてしまったため、休み時間が少ない。でも、授業開始時刻に遅れると叱られる。
・ 授業終了時刻が延びてしまったため、休み時間が少ない。でも、購買部での買い物を急がないと困る。
・ 着替えていたら校庭に行くのに時間がなくなった。いつもおしゃべりしながら着替えているので遅い。だから、いつも走って間に合わせている。しかし、担任は気づいていない。おしゃべりしながらの着替え・騒々しい中での給食準備や片づけ・おしゃべりだらけの美化作業の時間。大方、放任。
・ 教室の前の廊下で教室で暴れている・騒いでいる子どもたちの放任。あるいは気づかないほどに周りの教室が騒然とした状況。
・ 一部の子どもの相手や宿題調べに休み時間の多くを費やさざるを得ないため教室に籠もりっきりがちで、廊下など教室外での子どもの様子に目が行き届かないから指導もなされていない。
・ 他のクラスも走る子が多いし、きりがない。との諦め心からの放任。
 まだまだあるが、ここまでにする。
 
 実は、こんな要因もからんでいる場合も多い。廊下を走っている子・走って来た子に理由を問えば、ここに示した幾つかの答えも結構返ってくる。
 一人では改善できないものもあるだろうし、簡単にはいかないものもある。私も上手にできなかった部分も、含まれている。