正義と勇気を育てる学級&学年集団づくりNO23
2003年 3月 道徳教育改革集団・鹿児島 内山義朗
算数科TT加配担当教諭実践記
一、一度限りの算数科TT加配担当教諭を経験してわかったこと
12/15SUN 記 専科と学級担任の関係
2002年5月5日に私は自らのホームページに記した。
「専科やTT加配教諭をしていると、それぞれの学級のいろんな点が見え
る。やりやすい学級もあれば、とてもやりにくい学級。授業に真剣に取
り組まない学級。やたらと騒々しい学級。いろいろあるよ。」
昔、ある専科の方から幾度か耳にした話。この手の学級批判・学級担任批
判的コメントに対し、ある種の疑問を抱いてきた。
さまざまな子どもがいて、当たり前。学級も、それぞれ異なるのは当然。
一人一人がみんな違う。その前提で対応して、授業で力をつけるのが、
プロ。
「やりやすい」「やりにくい」のレベルで、子どもや担任批判をしている
うちは、対応力が低い証拠。それに対応する授業の腕が未熟なだけ。
授業が成立しないのは、授業者の腕の低さが要因である場合が多い。な
あんて、疑問をずっと抱いてきた。
今年度、初めてのTT加配教諭。4学級に入って授業している。
「やりにくい」と感じる学級は、ひとつもない。どの学級も、おもしろい。
「授業の組み立て方をしくじった」と感じた経験は、幾度かあるけど。
2学期間TT加配教諭をやってきて、この考えを確信。
まあ、世の中いろいろなケースはあるはず。授業が成立しないのは授業
者の腕だけが要因とは言い難い。
学級集団づくりがうまくいっていない学級での授業で同じにならないの
は、当たり前。やり方を変えればいい。
ちなみに、今年度担当している4クラス。私自身は、全く苦労なし。ど
こも楽しいし、それなりに子どもたちは育っている。
TT加配ではあるが、幾度も一人での授業もやらせていただいた。はっ
きり言って、一人の方が気楽。
TT加配は、学力向上が目的の制度。毎回研究授業をやっているような
もの。
二人がバラバラに実践するわけにはいかない。もう一人がお客さんにな
ってはいけない。相手が、どう動いていいかわからない状態をつくるのは
税金の無駄遣いにもなってしまうとの懸念もある。
よって、一人で授業する方が楽しい変化をつけられる。学級集団づくり
を進める実践も広くできる。
それはそうと、先の記述に対し、5月8日に、ある小学校教諭から個人
メールをいただいた。
久しぶりに内山先生のホームページを見て,「そうだよな」といろいろ
と納得させられました。1年目,我が○年○組ははちゃめちゃでしたが,
担任としては誇りを持っていました。なのに,専科の先生に「○年○組は
・・・」と言われていることを知って悩んだことを覚えています。私にも
責任はあったのは事実でしょうが,責任を私だけに背負わせるのは何か違
うだろうと思っていました。わたしは,将来専科をすることになったら,
内山先生のようなスタンスで各クラスの授業に臨むつもりです。
これに対して、私は次の通りメールを返信した。
初めての学級担任外の仕事。貴重なチャンス。なので、経験して実感し
た記録をとどめておくつもりです。
多くの教職員が通る道です。専科の方からの話で学級の子どもたちの事
実が掴める場合もあります。子どもたちの問題点も含めて、ザックバラン
に語っていただけるのは、ありがたいことです。
なかには「それは違うだろ。」というのもありますが、まずは全面的に
聞いて、学べる点は学び、違うところは放っておけばいいのです。
専科の授業での出来事が発端となって学級内で問題が起きる場合だって
あります。幾度か経験しました。
今年度初めてのTT加配教諭。まあ、専科に近い体験もした。
これまでは、専科の方の担当学級評論発言に口を挟んだ経験は一度もな
い。担任学級の子どもたちの問題を指摘されたら「すみませんでした。指
導しておきます。」「私が気づかなかった点を教えてくださり、ありがと
うございました。」みたいな対応をしてきた。
これから先も、この線でいくだろう。さまざまな情報を教えていただけ
るのは、ありがたい。自分の未熟な点も把握する材料にもなりうる。
ただし、子どもに罪はない。こう考えて子どもがより良く行動できるよ
う対応していくのが原則。
例えば、次の内容は私も幾度か聞いた経験がある。私自身が専科の方か
ら相談を受けた経験もある。
・ ○年○組は授業態度が悪い。
・ ○年○組は授業中おしゃべりが多い。
・ ○年○組は学習用具の忘れ物が多い。
これらを相談しあうのは大切だ。事実を伝え合うのはタメになる。
ただし、明らかに本人が「未熟な授業」「アマレベルの指導」しかでき
ないでいて、いつもいつも「子どものせい」「学級担任のせい」にしてい
るようなら話は違う。
来年度以降は、場合によっては口を挟む場合があるかもしれない。「本
当に学級がそうなのか『飛び込み』で研究授業をやらせていただけません
か。」「先生は、どう指導なさっているんですか。」「先生の指導に問題は
ないのですか。」と。「かつて私が専科らしき経験をした際、授業がヒド
イ・指導がアマイ以外は一切ありませんでしたよ。」と。
専科経験者の特権。少なくとも「学級によって授業への関心・意欲・態
度に差があって授業にならない。」「○年○組は学習のしつけができてい
ないので授業を進めるのに困っている。」「○○先生の学級は、いつもお
しゃべりが多い。」みたいな発言の90%以上は、専科の方が「自分の未
熟さを棚にあげて発言している」と私の目には映る。
実は「自分の教師としての未熟さをタナにあげての担任批判・子ども批
判・家庭批判」は、教科担任制である中学校では、さらに多くなると思わ
れる。
これまでに、数百人の中学校教諭と語り合った経験からの実感。教育サ
ークルや民間団体や組合の学習会・研究会などで語り合った中でに実感。
教科担任制は、一人一人の教師の責任を薄れさせる危険性はある。お互
いの教科の持ち場へ踏み込まないために実践をナアナアで済ませてしまう
状況をうみやすい。(と考えられる。)
高校・大学と進むと、その傾向はさらに高まる。その分、限定した分野
に専念できるのだから、専門性は増す。当然だ。
小学校での教科担任制も話題になりつつある現在、このあたりの事実を
出し合って導入か否かは検討する必要がある。
二 3月の授業
以下、付録として、教科書の内容がすべて終わった後の最近の私の授業
を1部お知らせする。日記から掲載。
3/4 TUE 記 漢字一筆書き&1〜○○までの整数の和
私が算数授業をしている6年3クラスとも、教科書もテストもとっく
に終わっている。前日までは、復習プリントを配布しての練習問題。
その際、授業開始時に次の通り板書するだけ。
プリン
もスキ
あとは、プリント配布のみ。子どもたちは、しいんと学習に取り組む。
上記二つの課題が終わった子は算数の自習をするルールになっている。
教科書やスキルを使っての復習なり、持ってきた参考書を見るなり、自由。
その際、早く終わった子用に問題を板書した。
A 一筆書きできる漢字を10個以上書きなさい。
B 1〜1億までの整数の和を求めなさい。
ひとクラスは、昨日で復習プリント完了。よって、今日は上記ABを授
業した。
特に、Bは面白かった。
初めの段階では「考え方がさっぱりわからない」と言っていた子が、途
中から大活躍。全員が解き方を理解した。(手応えあり。)
まだ実施していないクラスの子が見るかもしれないので、授業方法はヒ
ミツにしておく。(授業の進み具合に1〜2時間の差が出ているので同じ
ようには実施しないクラスもある予定。あしからず。もちろん、1時間ま
では使わなくとも短くは扱う予定である。)
3/6 THU 記 ガッタンビー
1 「任意の2けたの整数を一つ書きなさい。」
2 「ガッタンビーしなさい。」
3 「当たった人?黒板に式を写しなさい。」
4 「気づいたことを書きなさい。」
5 「実は、もう一つ当たりがあります。2等賞です。答えが○○になっ
た人起立。黒板に式を写しなさい。」
6 「気づいたことを書きなさい。」
7 「はずれた人、起立。答えだけ言いなさい。」
8 「何かが見えたでしょう。何でだろう?」
高名な正木孝昌氏による「がったんびい」の授業追試。1〜8が内山の
主発問・指示。
正木氏の授業と指導過程は同じ。発問・指示は、微妙なものも含めて、
すべて変えた。
私が見た正木氏の授業は4年生に「飛び込み」で実施。私は勤務校の6
年生に授業。
当然ながら、私の授業がテンポは速い。扱える内容量も多い。
6年生にも面白い教材だと実証できた。もう一クラス、後半部に重点を
置いて実施予定。
サークル学習会での模擬授業も行い、検討していただく予定。3月は参
加できるかアヤシイので、来年度になるかもしれない。
3/7 FRI 記 「占い」の授業
1 「どんな占いを知っていますか?」
2 「あなたは占いを信じますか?」(どちらかといえば「信じる」「信
じない」どちらか挙手で確認。)
(1)血液型占い(「信じる」が約1/2)
(2)星占い(「信じる」が約2/3)
(3)オミクジ(「信じる」が約3/4)
* ここから別な授業に展開していくことも可。
3 「今日の運勢を算数オミクジで占ってみましょう。」(算数オミクジ
の方法を教えた後、各自4回実施。)
4 (算数オミクジ4回実施後、結果発表。)「あなたの今日の運勢は次
の通り。」
偶数4回・・・大吉 偶数3回・・・中吉 偶数2回・・・小吉
偶数1回・・・末吉 偶数0回・・・凶
5 「これは、何回やってもいいのです。運勢が変わります。」
6 「実は、必ず偶数にする秘訣が幾つかあります。発見できるかな?」
(以下、発表・検討。)
高名な坪田耕三氏から講座で学んだネタ「オミクジ」の追試。ただし、
1〜6の発問・指示・説明等は坪田氏と若干異なる。私ならではの組み立
て方をした。
3/10〜12 MON〜WED 記 タイムカプセルクイズ
6年3クラスとも「タイムカプセルクイズ」実施。次の5問をノート
に書かせて答え合わせ。
【第1問】 「くらべられる量」を求める公式は?
【第2問】 「速さ」を求める公式は?
【第3問】 「秒速」「分速」「時速」の関係公式は?
【第4問】 「人口密度」を求める公式は?
【第5問】 1立方メートルは何立方センチメートル?
子どもたちが20歳を過ぎて、私と出会って自己申告したら、次のモノ
をおごる。
5問正解・・・焼き肉とビールまたはワイン
4問正解・・・お好み焼きとビール
3問正解・・・焼き鳥と焼酎
2問正解・・・たこ焼き
1問正解・・・ワインだけ
0問正解・・・焼酎だけ
これには、条件がある。
条件1 偶然道ばたで出会った時に限る。(暇がない時は別な日時。)
条件2 思い出して声をかけた時に限る。(私からは声をかけない。)
条件3 3人以内でいる時に限る。(人数が多いと金がもたん。)
以上、今の私なりにできる楽しい算数授業を実施。もともと算数科が専
門ではないだけに、先行実践に学びながら、追実践も交えながらの1年間
だった。
予定外の算数科TT加配担当教諭。担当4クラスのバランスも考えなが
ら、できるだけ計画的に仕事を進めた1年間だった。
ただし、算数学力をつけるのに重点は置いた。4クラスに入ることや給
食指導補教に入ることで、新たな問題点も多数発見。
それなりに多くを学べた1年間ではあった。正義と勇気の教育も、学級
担任に対して越権行為にならない程度にはやった。
しかし、TT加配担当教諭として進められるゾーンは学級担任の10分
の1にも満たない。私が学級担任として学年や近くのクラスに与える影響
の方がよっぽど大きいと実感。
内山が担任する学級の子どもたちが他のクラスに影響を与えていく力が
大きいのである。と、このあたりについて思索を深めることもできた。
このあたりについては、機会があれば、しばらく後、MMあたりで述べ
ようと考えている。
1年限りのTT加配担当教諭も今月で終わり。4月から1年ぶりの学級
づくり実践が楽しみだ!!