【第2部】やり残していることにどう取り組むか 
     TT加配教諭として学級づくりをバックアップする術
 やり残しはない。やり残しのあった学級をバックアップできるシステムを作った。学級担任でなくとも学級づくりには関われる。「正義と勇気」の学級づくりを進めるためには、学級担任外の関わり方もまた重要な課題である。
          
T はじめてのチャレンジ
 はじめて学級担任を外された。「外れた」のではない。「外された」のは、事実。であるから、もちろん希望外。
 最初は丁重にお断りした。担当も具体的には全く知らされなかったので受け入れられるはずもない。
 4月3日に、「5・6年算数科のティームティーチング加配教諭」担当をお願いされた。
「希望は誰もいない」とのことだった。「代わりたい」方もいないようだったので、「諾」の返事をした。
 誰かがしないといけないのだから。これまでも、希望外であっても誰かがやってきたのだから。
「やり手のいない担当」の多くは、尊敬するベテランの方が「穴埋め」してくださっているのを幾度か見てきた。若手でも、いやいやながら受けさせられてきたのも見てきた。
 多様な教科の授業や学級集団づくりのやりがいを求めたからこそ、小学校教諭になったのである。一つの教科の授業を専門的に受け持ち追究するのにやりがいを求めていくのなら中学校・高等学校教諭の道を選んでいた。
 そんな私と同じ考えで小学校教諭の道を選択した方も多いだろう。だから、専科やTT加配教諭の希望者がいない学校もあっても、おかしくはない。
 が、制度上あるいは便宜上、だれかがやらねば学校運営が混乱・空転しかねない。 私が学級担任から外されたため、学校全体が変化する所も多いはず。いくつかは、すでに変化している。職場体制はがらっと変わった。と、私の目には映っている。
良いか悪いかは別。最終的に、子どもたちにとって前年度以上によくなるか悪くなるかは今のところ誰にもわからない。
 もちろん、良い変化をもたらすように力を発揮していく。「希望外」なので、何かとやりやすい面もある。
「持ち場」で先の1・2の線で「できる仕事」を進めていく。これまで学級担任だからこそ、無理してきた面も随分とあった。少ない睡眠時間で仕事に取り組み、無茶した出来事も幾度もあった。
 今年度は、気軽にリラックスして、授業づくりに取り組みたい。5・6年各教室に入ることで、いろいろと学ばせていただける楽しみもある。
 いずれにせよ、初めての仕事。さっそく年度初めに構想を立てた。Uに示す。
 5・6年算数TT加配教諭に決まって最初に学校長と5・6年担任に出した文書のおおよそ。一部、削除・加筆あり。
 初めての仕事。それだけに、「子どもを育てるために」「価値ある仕事をするために」さまざまな取り組みの可能性を模索しておく必要がある。
 先に示したシステムを示しておくことで、後々動きやすくなるはずだ。
いずれも学校長と学級担任のOKをいただいている。
 今年度の大きな目標は、「正義と勇気を育てるTT加配教諭の仕事の確立」。
 
U 5・6年算数TT加配教諭に決まって最初に出した文書
2002年度6年+α算数TTの実施にあたって(学級集団づくりTTの試案)   2002年4月4日    内山義朗
 算数学力アップが目的なら、私がする必要はない。適任者は、他にいるだろう。
 また、TT加配教諭だからこそ効率的にできる仕事は多い。TT教諭は、やりようによっては、さまざまな可能性がある。
 にも関わらず、そこの研究は不十分。多くの学校では、効果的に学級& 学年集団づくりを進めるTTシステム構築がなされていない。
 TTの形態における授業の理論や実践を公表した書籍は多い。しかし、学級集団や学年集団づくり、さらには学校を取り巻く諸問題の解決のためのTTのシステム化や実践記録集は公表されていない。少なくとも、私は、目にしたことがない。
 そこで、「目の前の子どもの事実をよりよく変えていく実践群の創出」と「子どもの事実をよりよく変えていくTTシステムや実践群の世の中へ の提起」に力を注ぎたい。
 後方は、すぐにはできない。今のところ実践がないからである。この1年間は、まずは前方の取り組みとなる。そこで、この1年間、次の取り組みを進めたい。
 あくまで、学級担任が、学級集団づくりや授業づくりを進めやすくするためのシステムの提案。だから、「この線でいくか否か」は、学級担任の意向を踏まえて判断する。
1 6年3学級+5年1学級、計4学級の 算数科TTとしての週時数20単位時間。5・6年4学級の算数TT加配教諭の仕事をおおよそ、次の線で進める。
@ 通知表・指導要録における評定と単元 テストの採点・記録は内山義朗がする。A 「リーダー」と「サブ」は、学級担任 と単元交代。最初の単元は、内山義朗が 「リーダー」で授業する。
B 単元テストの実施と返却と返却直後の 指導は、内山義朗が授業の中で行う。出 張など特別な事情がない限りにおいて。C 学期最後の単元は、内山義朗が「リー ダー」。
D 補助教材(単元テストと計算スキル) と算数ノートは、内山義朗が選定。
2 TTで入る4学級の学級づくり・授業 づくりのフォローをする。学級担任と連 携して、必要に応じて、さまざまな指導 形態をとる。例えば、必要がありそうな らば、次のような方法も選択する。
@ どちらか一方が教室で一斉指導、他方 が何らかの事情で教室に入れない子への 対応をする。
A 学級担任のOKがとれれば、まれに他 の教科の授業をする。TTの形態をとる 場合もありうる。
B 学級担任のOKがとれれば、まれに道 徳授業や特別活動の指導をする。TTの 形態をとる場合もありうる。
3 算数授業があるときは、常時そろえる ように指導する学習用具ナイン。
@ 赤えんぴつ(「赤ペンも可」とするか 否かは学級担任の判断)
A ノート
B えんぴつ5本以上 
C(計算)スキル
D コンパス 
E 定規(長さを測る目的の定規・三角定 規)
F 分度器
G 教科書 
H ミニ定規(直線を引く目的の定規)
*「あの絵、少し無気味。」と覚える。
* 内山義朗が「リーダー」で進める時は、 消しゴムとシャープペンシルの使用は認 めない。(ただし、テストの時は、消し ゴム使用。)
4 ほか、次の線で授業を進めていく。
@(当たり前といえば当たり前だが)授業 の開始時刻と同時に開始する。何らかの 事情で学級担任が遅れる場合は、始めて おく。逆の場合も同じ。
A(当たり前といえば当たり前だが)終了 時刻を守る。特別な事態が起こらない限 りにおいて、時間オーバーがないように 留意する。 
B「サブ」は必要と判断すれば、一斉指導 中も口を挟んでも、個別指導を続けても よい。
C 内山義朗が「リーダー」の場合は、「教 科書を使い、教科書通りに教える」授業 を基本とする。ほとんどは、教科書・ノ ート・スキルを使用して進める。学級担 任が行う場合は、方法はお任せする。
D 計算スキルは、授業で使用する。
E ほか、自習や宅習指導等で学級担任が 使いたい補助教材があれば、学年または 学級で判断。
 
V 委員会活動初期の取り組み
 第一回委員会活動は、4月19日。今年度も「仲良し委員会」担当。2002年度「仲良し委員会」の活動目的は「人権・平
和の啓発と活動の推進」。
 おもな仕事内容は、次の三つ。
1 児童総会等でのスピーチや通信紙・ポスター等による啓発・推進。
2 「世のため人のため」の実践。
3 チャレンジ集会等の集会活動(他の委 員会主催の集会活動も含む)の支援。
 次の係を立候補により決めた。すべて立候補。
 1〜3は、「立候補」「決意表明」「拍手による承認」で決定。4のみは、1〜3と重複してもOK。なお、仲良し委員会では、@・A・Bは、各2名、計6名。
@委員長 A副委員長 B書記
C 4・5・6・7・9・10月の委員会 代表(児童代表委員会出席者)各1名
 6年生は、@〜BにもCにも、全員が入った。ちなみに、仲良し委員会には、昨年度の内山学級が一人もいない。それでも、この結果。
 6年生の積極性を見て、5年生も育つはず。よき伝統文化になる期待も、もてる。
 第2回委員会活動は、5月2日。始動。当日のおもな仲良し委員会がらみの仕事。
@「世のため人のため」の活動、ここ一  週間の取り組みの検討。
A「人権」「平和」に関するポスター・新 聞の作成と掲示についての連絡。
B 児童総会でのスピーチ代表の決定。ス ピーチ文の作成。
 そして、5月9日3校時は、児童総会。
場所は体育館。3〜6年生全員が参加。
 今回は、委員会紹介。各委員会による自己紹介形式。
 各委員会代表が、活動内容やお願いや宣伝をした。委員会数は、全部で16。
 代表のほとんどが、6年生。以前と違って、代表が複数の委員会も多かった。多人数での委員会紹介を始めたのは、私。
 私が担当する「仲良し委員会」は、今回、全員が代表。5年生もいたのは、ここだけかもしれない。 
 昨年度の内山学級34人中21人が委員会代表として登場。前で発表。
 うち、委員長らしき子が9人。9人が委員会の「リーダー」格として発表。
 計画も運営も各委員会の発表も、ナイスだった。かつて実施していた児童総会における委員会紹介とは雲泥の差。
 といってもいいくらい。レベルアップしている。少々の余った時間(空白の時間)を楽しくうめるための「全員参加の楽しいゲーム」も準備していた。
 
W クラブ活動
 4月30日は、第一回クラブ活動。今年度の担当は、「室内における伝統遊び」クラブ。内容は、得意な将棋に囲碁・五目並べ・オセロに百人一首・などなど。
 部員は、21人。将棋アマ五段のSさんと二人で担当。チーム対抗リレー将棋大会や五目並べチャンピオン決定トーナメント戦などなど、集団で楽しみながら学び合える方法も計画中。
 1学期は、将棋・囲碁・五目並べ・オセロ・百人一首に限定して実施。 
@ さまざまな伝統遊びのルールを覚え  る。
A さまざまな伝統遊びを教えあい楽しみ あう。
B 仲間の輪を広げる。
 この三つが1学期の目標。2学期は、チーム対抗戦やトーナメント戦・リーグ戦などに発展させていく計画。
X これまでとこれから
 以上、担当部分での年度初めの取り組みを述べた。1年間の学級づくりバックアップ作戦のベースはできた。
 学級担任ならば担任学級におけるシステムづくりが最初のやるべき仕事。できる仕事を各自がしながら集団として学び合い高め合うための素地づくりとしての組織&ルールの確立は重要な仕事。
 ただし、「楽しく盛り上げながら個と心の糸を編みながら」が条件。
 学級担任外の専科やTT加配教諭の最初の仕事もシステムづくり。1年間、持続する指導事項の根っこの部分をきちんとシステム化しておくのが重要。
 年度初めは、どの学級の子もおりこうさん。この時期にノートや教科書の使い方を
身につけさせておくのが大切だ。
「専科やTT加配教諭をしていると、それぞれの学級のいろんな点が見える。やりやすい学級もあれば、とてもやりにくい学級。授業に真剣に取り組まない学級。やたらと騒々しい学級。いろいろあるよ。」
 昔、ある専科の方から幾度か耳にした話。この手の学級批判・学級担任批判的コメントに対し、ある種の疑問を抱いてきた。
 さまざまな子どもがいて、当たり前。学級も、それぞれ異なるのは当然。
 一人一人がみんな違う。その前提で対応して、授業で力をつけるのが、プロ。
「やりやすい」「やりにくい」のレベルで、子どもや担任批判をしているうちは、
対応力が低い証拠。それに対応する授業の腕が未熟なだけ。
 授業が成立しないのは、授業者の腕の低さが要因である場合が多い。
 なあんて、疑問をずっと抱いてきた。
 今年度、初めてのTT加配教諭。4学級に入って授業している。
「やりにくい」と感じる学級は、ひとつもない。どの学級も、おもしろい。
「授業の組み立て方をしくじった」と感じた経験は、幾度かあるけど。
しばらく経つとかすかな変化が見えてくる。例えば、教室に入ると隣同士で席を離している子が目に着く。5・6月になると現れだした。
「この隙間が気になるなあ。」
 私がこう言うと、二人は、さっと付けた。 こんな一コマからも、学級担任が気づいていないか学級担任がどうにも対応できていない危険の信号を見抜き、学級づくりをバックアップしいくこともできる。