ガンを治すとはいわないけど、痛みを取り除くことはできる。
かなりの効率でできる。
モルヒネという鎮痛剤との併用でなく、指圧整体治療だけでできる。
平成十二年十月十六日だった。昭和十三年生まれの女性が訪ねてきた。
卵巣ガンだという。
その年の三月からの抗がん剤使用で頭髪もかなり抜けていた。
左でん部痛、左足痛を除いてもらいたい。
私は躊躇することなく引き受けた。
二回目は十九日。左でん部痛が消えたといった。
治療後左足痛もきえたといった。
先に断っていく。
消えたといった時点で一日中痛みがない、痛くなるかもしれないといった不安が消えたと早計してはいけない。
三回目、二十二日。時々痛い。
四回目、三十日。痛み消えたとはっきり自覚した。
五回目、十一月三日。痛み取れて治療後寝込んだ。
六回目、十一月九日。昨夜、仰向きに寝られた。
仰向き、うつ伏せ、左側下、右側下。それぞれに都合の良い姿勢で眠り、姿勢を何度か変えたりもする。
彼女はガンの痛みを知るようになって仰向きで寝られなくなっていた
十三回目、十一月十六日。
医師も治らないといっていた「ひどい痛み」も消えた。
そうなると患者はガンもよくなりそうだと思い、治療所から自宅まで三十五キロの道を走って帰りたい気分にもなった。
十九回目、十一月三十日。医師、「来るなとは言わないが」自宅近くの病院をすすめる。
二十四回目、十二月十五日。当治療所で最後の治療日。
彼女のガンによる痛みはとれ、どの姿勢でも寝られるようになった。
彼女のもり上がった病巣もかなりへこんだ。
彼女の夫が一人で当治療所に来たのは明けて平成十三年二月十六日。
「一日中、つきっきりな」
「なくなったど」
今、あるホスピスに月二回通っている。
当たる患者はその都度変わる。
容態の変化を知る由もないがかなり喜ばれているのはわかる。
「安らかに逝きなさい」