鹿児島 24時間 社会医療法人 愛仁会 植村病院

■ 漏斗胸とは

漏斗胸とは胸の真ん中がくぼんでいる病気（状態）です。人口の0．13−0．7％に認められ、先天的な病気で胸を囲んでいる肋骨とその前方に続く肋軟骨が長くなりすぎて歪みが生じて前胸部がくぼむと考えられています。それ自体で生命が危険に陥る疾患ではありませんが、心臓は左に変位し、肺が圧迫され肺活量が20％程度減少しており、かぜをひき易い、疲れやすいなどの症状や鳴息を合併している患者さんもいます。 心電図異常を指摘される事がよくありますが心臓に異常があるわけではなく、心臓の位置がずれているために心電図の波形が変わってしまうことがほとんどです。 　 陥凹がある程度以上の場合には手術を行うことがあります。出生直後から陥凹があり、小児期に手術をすることが多いため、短期間の入院で安全に良好な形が得られ呼吸機能、成長に悪影響を与えない手術が求められます。

■ どんな場合に手術の対象となるか

漏斗胸の程度（陥凹の度合い）の評価には様々な方法があります。しかし患者さんによって体格や陥凹に違いがあります。つまり、胸板が厚いか否か、左右対称か否か、広く浅いか、狭く深いかなどの遠いがあり陥凹を数字で正確に表すことには限界があります。陥凹部分の容積が概ね患者自身の手拳の体積と同等以上であり、患者や家族が手術を望んだ場合には手術を行います。また3歳以下では自然に回復することがまれにあるため、3歳以上になったら手術を考えます。一般的には小学校に入る前ごろが至適時期と考えます。それは骨が柔らかく小さな傷から手術が可能であり、術後の形もきれいになること、集団生活の前で精神的な影響が少ないこと、患者さん自身が手術をある程度理解できることなどからです。漏斗胸手術の目的は、呼吸や心臓の機能への影響を取ることと精神的な影響を取ることの両方と考えています。

■ 手術の方法

肋骨は左右12対ありますがそのうち上から7本が前胸部中央の平らな骨Å胸骨に付いています。胸骨と付着する部分から数cmの前の部分は肋軟骨という軟骨です。肋骨の間には肋間筋があり呼吸に重要な働きをしています。漏斗胸のくぽみの最深点は通常胸骨の下端付近です。漏斗胸に対する手術は病院により様々な方法が行われています。前方の肋骨、肋軟骨が長く急峻な角度で下方に向かうという漏斗胸患者の特徴に対して、長すぎる肋軟骨を切除再縫合する術式を基本としています。これは和田らが2000例以上に施行した術式（注りを改良した方法です。これらの術式の特徴は異物を使用せず、切り詰めた肋骨の張力により胸郭を矯正、固定することであり、変形、骨化の程度等により術式は大きく二つに分けられます。また症例に応じて若干の変法を用います。

注1：和田轟郎氏　札幌医科大学名誉教授　元東京女子医科大学教授著書「胸郭変形」（文光堂）などに術式の詳細があります。

■ 胸肋挙上術

第3または第4肋軟骨から第7肋軟骨の過長部分を切除し胸骨に再縫合します。小児では全例に、成人でも陥凹の程度の高度なものをのぞいてこの術式を施行します。

■ 手術の方法

肋骨は左右12対ありますがそのうち上から7本が前胸部中央の平らな骨Å胸骨に付いています。胸骨と付着する部分から数cmの前の部分は肋軟骨という軟骨です。肋骨の間には肋間筋があり呼吸に重要な働きをしています。漏斗胸のくぽみの最深点は通常胸骨の下端付近です。漏斗胸に対する手術は病院により様々な方法が行われています。前方の肋骨、肋軟骨が長く急峻な角度で下方に向かうという漏斗胸患者の特徴に対して、長すぎる肋軟骨を切除再縫合する術式を基本としています。これは和田らが2000例以上に施行した術式（注りを改良した方法です。これらの術式の特徴は異物を使用せず、切り詰めた肋骨の張力により胸郭を矯正、固定することであり、変形、骨化の程度等により術式は大きく二つに分けられます。また症例に応じて若干の変法を用います。

注1：和田轟郎氏　札幌医科大学名誉教授　元東京女子医科大学教授著書「胸郭変形」（文光堂）などに術式の詳細があります。

■ 胸骨翻転重量術（STO-0)

第2または第3肋間で胸骨を切断、下部を裏返しにして胸骨上部に1cmほど重ねて固定、さらに過長な肋軟骨を切除し再縫合します。胸骨が骨化し変形の強い成人例にのみ施行します。術後の生活について手術当日、翌日はぐったりしていますが、5日日頃からは逆にご家族が心配するほど元気に走り回るお子さんもいます。小児の手術では翌日以降に痛み止めが必要になるほどの痛みはほとんどありません。術後1週間ほどで退院しその後ト3週で通学、仕事が可能です。術後3ケ月で活動の制限はなくなり、体育授業等が可能になります。春夏冬の休み中に手術をするお子さんが多くいます。

■ 長期予後について

肋軟骨を大きく切除し一部の肋骨肋軟骨しか再建しない術式では、胸郭の成長を抑制することが散見されますが、我々の術式ではそのような心配はありません。肋骨肋軟骨の長すぎる部分を直接切除するので再度陥凹することもまれです。しかし思春期の身長が急激に伸びる時期に肋骨がまた長くなりすぎて陥凹が目立ってくることがあります。漏斗胸の方は特に男性では痩せて背が高いことが多いために思春期に身長が急激に伸びて痩せてくると胸の変形がやや目立つことがあります。