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子どもの宇宙
その1 個性伸長
舞花ちゃんはお母さん大好き。どう考えても,しかる回数はお母さんがとてつもなく多いのだが,やっぱりお母さんが一番みたい。保育園の先生も大好きだが「T先生とお母さん,どっちが好き?」と聞くと「お母さん」「お母さんとお父さんどっちが好き?」と聞くと「お母さん」心配になって「T先生とお父さんどっちが好き?」と聞くと「お父さん。」これにはホッとする。そんな大好きお母さんがリンゴの皮をむいているときのこと。
(舞花)「お母さんすごい。上手ね。」
(父)「舞花も大きくなったらお母さんみたいになろうね。」
(舞花)ううん。舞花ちゃんみたいになる。

(コメント)
まさに「みんなちがって,みんないい」とはこのこと。人は人,自分は自分。憧れは憧れであり,人間としては,ある人のコピーではなく,オリジナルな存在でなければなりません。個性の大切さをすでに分かっているのでしょうか。これからも「自分らしく」生きて欲しいと願うことでした。
その2 切ない我慢

ある夜のこと。すっかり眠くなった舞花ちゃんはちょっと甘えて,お母さんに添い寝をしてもらってました。いい気持ちで寝ようとしているその時,「フエーン。フエーン。」と昂希ちゃんの声。
(母)「昂希ちゃんのところにいってもいいかな。」(いつもなら「いや」といって泣くところ)
(舞花)「いってもいいよ。いてくれたらうれしいけど・・。」

(コメント)
どこでそんな応答の仕方を覚えたのでしょうか。けなげな姿。体の成長とともに,しっかり心も成長しているんだなあと感じた瞬間。遥希と昂希を寝かしつけたあと,お母さんはしっかり抱きしめてあげました。

その3 アニミズム
10月も後半に入ったある日の出来事。この夏も大活躍した扇風機をそろそろ押入に片づけようと段ボールに入れていたときのこと。
(舞花)「お父さん,何してる?」(最近の口癖)
(父)「扇風機,片付けてる。」
(舞花)「バイバ〜イ。たくさん食べて大きくなってね。またね。」

(コメント)
小さい子どもはどんなものにも命を感じ,話しかけたり,働きかけたりします。一夏お世話になった扇風機君への感謝の気持ちのはいったお別れの言葉。きっと舞花が成長した分だけ,扇風機君も成長し,来年も活躍してくれることでしょう。全てのものへの感謝の気持ちをもつこと。教えられた瞬間でした。
その4 規則
舞花ちゃんのお風呂当番はお父さんでした。しかし赤ちゃん返りをし始めてから「お母さんと入る。」といって聞きませんでした。そんなある日のこと,ダメもとでお父さんが「お風呂誰とはいる?」と聞くと「お父さんと入る。」との返事。その日,お風呂では楽しく水鉄砲をしたり,水泳のまねごとをしたりしながら,とってもはしゃいだ舞花ちゃんでした。楽しかったから翌日もきっと「お父さんと入る」と言うと思って,「誰とお風呂は入る?」と聞くと,「お母さん。」とのこと。「昨日楽しかったから,またお父さんと入ろうよ。」といっても「ううん,お母さんと入る。」という。「どうして?」と聞くと,
「順番なの。」
翌日,しっかりお父さんとお風呂に入った舞花ちゃんでした。

(コメント)
ルールを守ることは簡単そうに思えて実に難しいものである。形式的なルールが自分の心に届き,内面化されて初めてルールが守れると思う。世の中分かっていてもできないものが少なくない。親の気も知らず(お父さんと入った方が,料理などの関係で親は助かる),自分ありの規則を作り,しっかり守る舞花でした。でもどうしてこんな規則を思いついたのでしょうか。

(補足)
しばらくして,この規則も変わりました。現在は「お風呂はお父さん,寝るのはお母さん。」というもの。果たしてこの規則はいつ変わるのやら・・・。
その5 予測

舞花ちゃんがままごとが大好きな時期のことです。「ちょっと待っててね。」といっては,はさみで紙を切り,「はいどうぞ。召し上がれ。」と持ってきます(おかげで家中紙くずだらけ)。それは時にはバナナだったり,ときにはおぎりにんにん(おにぎりのこと)だったりします。「どうもありがとう。」といって,お父さんとお母さんはありがたく(?)受け取りますが・・・。お父さんは「アムアムアム。」と食べた真似をしながら,その紙を首の所からシャツの中に入れてしまいます。すると手には何もなくなり,「あーっ,食べてしまった。」と舞花ちゃんは大慌て。そこでお父さんは口から出す真似をしながらシャツから取り出し,返すのです。
次の日も「はいどうぞ。召し上がれ。」とお父さんに手渡すと「ほんとに食べたらだめですよ。」と舞花ちゃんは一言添えました。しかし,お父さんは相変わらずいつも通りの対応で,食べた真似をしてしまいました。すると舞花ちゃんは,ポツリとつぶやきました。
「やっぱり・・・。」
その一言にお父さん,お母さんは大笑いでした。

(コメント)
「きっとこの人ならこうするだろう。するかもしれない。」そんな予測をしながら行動していることにびっくりした一こまでした。それにしても「やっぱり・・。」といったということはお父さんのことをどう思っているということでしょうか。

その6 好きなもの

舞花ちゃんは食べるのが大好き。この年末年始もたくさんおねだりして,好物の納豆や梅干し,豆類,ケーキに栗の饅頭などたくさん食べてしまいました。おかげでおなかが大変立派になりました。
ある日のこと,舞花ちゃんのおなかを見て「舞花ちゃんのおなかはすごいね。何が入っているの?」ときくと
「ぞうさん!」
思わぬ反応に一同大笑いでした。
ちなみに「お母さんのおなかには?」と聞くと「小さいぞうさん。」「お父さんのおなかには?」ときくと「ウサギさんが3匹。」とのこと。なかなかユーモアのある子供です。

(コメント)
大きいもの=ぞうさん。きっと舞花の中では一番大きいものはぞうさんなのでしょう。そして舞花はぞうさん大好きです。大好きなぞうさんがおなかの中にいたらいつも一緒にいることができて楽しいでしょうね。ところで,小さいぞうさんとうさぎが3匹はどっちが大きいのでしょうか。

その7 初心忘るべからず

舞花ちゃんはお出かけ大好き。いつも車の中では音楽(童謡など)を聞きながら,歌ったり,「握手」といっては手をつないだりして,親子のふれあいを楽しみます。ある日のことです。久しぶりにお父さんの実家へ向かっていると,途中まで楽しく歌を歌ったりしていたのに,トーンが下がってきました。少々眠くなってきたようでした。もうすぐ着くから眠られるとちょっと困る。そこで「舞花ちゃん握手しよう。」と盛り上げようとしたところ,
「ちゃんと両手で(ハンドルを)持ってね。」
と指導を受けました。

(コメント)
安全第一。大切な子供を乗せての運転です。慣れは怖いもの。油断大敵。何事も初心を忘れたらいけませんね。

その8 心くすぐる一言

舞花ちゃんのおしゃべりは一段とパワーアップし,色々な言葉を覚えて,そのときそのときの状況を考えながら話しています。春休みにちょこっとお母さんと子どもたち3人の4人で都城に遊びにいっていると,夜には電話がきたり,舞花ちゃんの描いた絵がFAXが送られてきたります。そんな電話での会話での一言,
「舞花ちゃんは,お父さんと会いたくてたまらないんだけど。遊びたくってたまらないんだけど。」
「たまらない」これが舞花ちゃんの覚えたてのフレーズ。しかも見事に聞いた人の心をくすぐってくれます。「たまらない」を使えば大人の反応がいいので「おなかがすいてたまらない」「トトロが見たくてたまらない」など,ちょっとした「たまらないブーム」の舞花ちゃんでありました。

(コメント)
親としてはうれしくてたまらない一言です。そんなときはお返しに,「お父さんも会いたくてたまらないよ。」と切り返します。すると舞花ちゃんもうれしそうな反応を表してくれます。やっぱり「たまらない」にはあふれるぐらいの気持ちがいっぱい入っているんでしょう。

その9 えらい

毎日の育児に悪戦苦闘のお母さん。寝不足,ちょっとお疲れ気味で,ピリピリすることも少々?あります。舞花ちゃんも甘えたいのもあり,時々わがままを言って叱られます。でもわがままを聞いてあげる余裕がないことも多いのです。ある日,お父さんと公園はしごの散歩に出かけているときの会話。お父さんの「お母さん,どうして怒りんぼなのかな?」の問いに
「舞花ちゃんがわるいことするからかも。」

自分で悪いことをしている意識があったのでしょうか。それにしても,自分のせいにするところが「えらい」と思いました。しばらくして道ばたに小さな花を見つけました。
「お母さんにおみやげにしよう。ニコニコするかな。」

(コメント)
甘えたい年頃。しかも下の子がいればなおさら。下が双子で我慢している(させている)ことも多いはずです。子どもは親が大好き。いくら叱っても大好きです。「そんなピリピリしなくても」と思っていたお父さんは少し反省。自分が悪いって素直にいえるって素晴らしい。なかなか人間できません。散歩やお買い物のときなど,いつも道ばたのちっちゃな花などを見つけては「おみやげ」といって一輪もって帰ってくる素敵な,素敵な舞花ちゃんです。

その10 心の教育
遥希君と昂希君の動きが活発になり,玄関が空いていると,いつの間にか外にでて,階段の所までいくこともしばしばあります。親が大慌てしているのを見て,二人はニヤリ。そんな二人が玄関で遊ぶのがブームのときです。玄関で靴を持っては投げ,持っては投げしていると,「昂希ちゃんだめ!」「遥希ちゃんだめでしょ!」と大きな声を出して叱っていた舞花ちゃんでしたが,・・・・。
 ある日,久しぶりに昂希君が玄関で舞花ちゃんの靴を両手に持って遊んでいたら,
「そんなことをしていたら舞花ちゃんが悲しくなるでしょ。」
との一言。叱られるより,心に届いたのか,昂希君も遊ぶのをやめてくれました。

(コメント)
行った行為を叱るのではなく,相手の立場に立って考えさせるとは・・・教師である両親が学ばせて頂きました。ありがとう舞花ちゃん。
その11 話のツボ

ある日のこと。お父さんが舞花ちゃんに「お風呂何番目に入る?」と聞くと「もちろん一番。」との答え。思わず夫婦してプッと吹き出しつつ「言葉が達者になったねえ。」とお母さんがつぶやくと,すかさず「照れちゃうなあ。」
これまた夫婦して大笑い。「どこで覚えたの。その言い方?」と聞くと「自分で考えたんです!」ですって。会話のツボ,笑いのツボをしっかりと押さえている舞花ちゃんです。

(コメント)
子どもは色んな所から情報を得ています。大人のちょっとした会話も密かに聞いているのでしょう。分からないと思って話していたり,テレビを見ていたりすると,しっかり子どもの頭の中には入っているんでしょうね。子どもの前での言葉遣いやテレビ番組の選択には注意が必要です。

その12 できる
ある日曜日の朝。何を思ったのか(?),いつもお母さんに髪を結んでもらっているのに,今朝はお父さんがいるからか「今日はお父さんに結んでもらう。」とお母さんに言い残し,ダッシュでやってきました。「お父さん,結んで!」でもお父さんはもちろん自らの髪を結んだ経験もありませんし,上手に結べるはずはありません。そこで「おとうさんはできないよ。」と返したところ,「ちゃんと手があるからできるはずです!」
一本取られた感じがして夫婦で笑ってしまいました。

(コメント)
「できる」の規準は難しい。確かに手があるから結ぶことはできる。ただかわいくできるか,きちんとまとまるようにできるかとなると・・・。(どの程度で「まとまる」といえるかも主観的である。)評価規準を明確にしなければならないところである。学校の評価も一緒です。
返答の言葉も「お父さんは,結んだことがないから,上手に結べないよ。」が適切でした。もしかしたら娘としては上手に結んでくれることは全く期待していなかったかもしれません。ただ,お父さんにしてもらいたかっただけだったかも・・。「やればできる」卒業した中学校の校訓。最初からあきらめてチャレンジもしなかったのも後悔しました。次は「うまくはできないけどお父さんでいいかな。」とチャレンジしてみようかな。(チャレンジさせてくれることがあるでしょうか。)
その12 男らしさ

保育園でのできごと。先生はちょっと風邪気味で「先生,のどが痛い,痛いなんだよ。」と子どもたちに話をしたところ,昂希君がすかさず,
「ぼくが守ってあげる!」
これには,先生も胸が「きゅん」としたらしい・・・。

(コメント)
「本当に強い人は優しい人」自分のことより他人を思いやることができる人。そう教えてくれたのは,鶴丸高校時代の校長先生であった濱里忠宣先生が薦めてくれた「あっこの日記」。それにしても,すかさずでたこの台詞。泣き虫,こわがりなくせにいざとなったら男らしいところを見せてくれるんだあと頼もしく感じました。