ながさき文学散歩 7月24日 遠藤周作文学記念館他

 七月二十四日、午前八時鹿児島中央駅前を出発。総勢十六名。いつもの文学散歩よりこじんまりした旅でしたが、とてもまとまりのいい文学散歩ができました。途中、阿久根と長島で休憩を入れながら、フェリーを乗り継ぎ、天草の島々を堪能しました。なんて緑が濃いのでしょうね、と言い合い、初めて参加の方も「こういう旅もいいですね」との感想。

 バスの中では、天草・島原の乱のこと、天草四郎について、遠藤周作について、「沈黙」について、と盛りだくさんの授業をしました。いつも乗り物酔いに悩む人も、薬を飲まず、しっかり授業を聴いています。さすがにお昼ご飯のあとは、解説を聴きながら熟睡している人が半分でしたが。

牛深で、活きのいい刺身定食のお昼ご飯をいただき、カンパチのあら炊きの「コラーゲン」をむさぼりました。そのあと、本渡市の「天草切支丹館」へ。案内役の方が出迎えてくださり、講談調で「天草・島原の乱」のことや展示されている資料について、詳しく説明して下さいました。おもしろおかしく聴いているうちに、すぐ時間が過ぎていきます。

再びフェリーで雲仙方面に渡り、キリシタンの人々が煮え湯で拷問を受けたという小浜温泉を通りすぎ、一路長崎へ。宿泊ホテルの前は、新地中華街。夕食には本場の中華料理をたっぷりいただきました。その後、グラバー園へ。ライトアップされ、長崎の夜景が美しかったこと。参加者の口から一様に漏れたのは、「かごしまだってこれくらいできるのに、なんで観光化が遅れるんだろうね」。

七月二十五日、快晴。長崎市より約一時間、左手にかつて炭坑であった島々を眺めながら、北に走ると、外海町。桜見さんの友人緒方さん(長崎市在住)が観光案内のプロということで、この島々を詳しくガイドしてくださいました。

「遠藤周作文学館」では、枕崎市出身の山下静香学芸員がわたしたちを出迎え、約四十分説明をしてくださいました。先日来、話題になった「沈黙」草稿も展示してあり、遠藤周作の創作過程を垣間見ることができました。

とても流れの良い文学館で、文学作品に即した説明が多く、読みごたえ十分。「沈黙」の舞台ともなった海を眺める展望室もあり、その美しさは時を忘れるほどです。しかし、小説「沈黙」はこのどこまでも蒼く一見無垢な海原に、多くのキリシタンの命が無惨に投げ込まれたことを教えてくれます。

遠藤周作文学館から五分ほどのところにある「ド・ロ神父記念館」へ。八十五歳になられるシスターが、ド・ロ神父の仕事について解説してくださいました。一通りの解説が終わると、百二十年前にフランスから取り寄せたというオルガンで「慈しみ深き」の賛美歌と「ド・ロ神父のおしえ」の歌を、シスターの伴奏で一緒に歌うことができたのは、実にしあわせなひとときでした。

「外海町立歴史資料館」には、かくれキリシタンの血が流れたあとがしっかりと展示してあります。黒崎教会の近くで、お昼ご飯をいただき、「ド・ロさまそうめん」などのおみやげを買い込んだあと、鹿児島へ。時間もぴったり、流れる夢のような二日間でした。