鹿児島文学散歩 4月17日 桜島句碑めぐり

新緑もまぶしい四月十七日、「かごしま文学散歩 桜島句碑めぐり」は、初夏を思わせる晴天のなか、
各自桜島フェリーに乗船し、「レインボー桜島」へ集合。
今回は、「かごしま文化研究所・桜島友の会・かごしま探検の会」三者合同という初めての企画です。
小学生の参加もあり、参加者、スタッフ(解説、会計、カメラ)含めて総勢四十名の大所帯。
 
 
 参加者は小冊子『桜島句碑めぐり』(かごしま文化研究所発行)を手にレインボー桜島裏手の公園を起点とする「溶岩なぎさ遊歩道」を歩きます。海はあくまで青く、対岸に白く輝く鹿児島市街地はまるでナポリを見ているよう。本物のナポリより美しい!という人もあったほど麗しい風景です。
 海岸線沿いの黒くごつごつとした溶岩の中に作られた「溶岩なぎさ遊歩道」は、日本の遊歩道百選の中にも選ばれているとか。鹿児島在住の人でも。こんな素敵な遊歩道があったとは知らなかった、など鹿児島ならではの風景に皆大喜びです。この遊歩道に沿ってあるいていくと、

溶岩色(らばいろ)を重ねて古りて冬ざれて

高浜年尾

黒い桜島折れた銃床海を走り

金子兜太

マグマ湯の赫く溢れて梅雨の月

横山房子

火の島の左右に紫春の暁

角川照子

地に垂りていよいよあをきさくらかな

          角川春樹

夏山と溶岩(らば)の色とはわかれけり

藤後左右

桜島とどろき噴けり旧端午

          水原秋桜子

 という七つの句、六つの句碑をめぐることができます。合同企画となったのは、桜島を多角的に学ぼうという欲張りな発想でした。句碑めぐりをしながら、かごしま文化研究所は俳句や作者の解説、かごしま探検の会は歴史の分野、桜島友の会は地質の分野と、盛りだくさんにして簡潔な解説で、ひと味違う文学散歩となりました。
 
 歩いては、句碑を囲んで三つの解説に耳を傾け、すっかり松に覆われた溶岩の中を歩きながら、なぜこうも松の木が自生しているのか、その理由も知ることができました。約二時間半かけて句碑めぐりをして、スーパーマグマロードを歩いて約二十分で「レインボー桜島」へ到着。二階の冷房の効いた部屋で昼食をいただきました。
 

食事と休憩のあと、再び歩いて十分ほどの月讀神社へ。桜島フェリーターミナルから上の方に登ったところです。ここにも句碑があります。

溶岩に秋風の吹きわたりけり

          高浜虚子

 月讀神社では宮司さんから、神社の由来など興味深いお話を聴くことが出来ました。
 

八つの句のほとんどは他県から訪れた俳人の句ですが、その中で、志布志出身の藤後左右の句碑が雄大な桜島をバックに、東屋のある展望所に建立されています。溶岩を英・独語読みで「らば」と読んで初めて句に用いたのも、この藤後左右でした。
 
桜島の荒々しさと美しさを併せ持つ独特なたたずまいは、俳人や歌人そして画家など、訪れる人々の大いなる創作欲をかき立てるようです。桜島には他にも句碑や歌碑が多くあります。また合同で古里温泉ツアーや夕焼けとビアガーデン付きの企画も考えています。

次回(5月15日)は、向田邦子と城山。三時間コースです。
歩きやすい服装でご参加下さい。