黒島と有吉佐和子

作家・有吉佐和子は、昭和33年、鹿児島県黒島片泊地区に姥捨山伝説があるとの情報を得て、黒島を訪れた。
黒島に滞在するうち、島の人々との密接なかかわりができて、まだ道路もできていなかった島で、牛に乗って移動する体験などをした。左写真、牛に乗っているのが、有吉佐和子である。(写真:三島村役場提供)
この体験をもとにして書かれたのが、小説「私は忘れない」である。「華岡青洲の妻」など力作を発表した有吉佐和子であるが、「私は忘れない」は、黒島の過酷な生活を明るく描いた作品である。
黒島では、「さようなら」を「あしたよなあ」と言う。小説「私は忘れない」で、主人公万里子は、「あしたよなあ」と手を振って、黒島に別れを告げる。
「私は忘れない」は、昭和34年に朝日新聞に連載される。翌年に映画化され、黒島始まって以来の大勢のスタッフが上陸した。写真はその上陸時の風景。右端が監督、その横に立つのが有吉佐和子らしい。

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