土 地 取 引 要 領 書 ・1992年1月制定・2001年3月改定・2011年5月改定
宅地建物取引業マルシン地研 鹿児島県知事 (6)
3625号国土交通大臣登録証明事業不動産コンサルティング(1)30237号
はじめに、われわれ不動産取引業者のまわりには、様々な物件があります。それらは、個人・法人等が所有し、その所有権は登記という制度のもと公示されています。所有権が登記されるに至るには複雑な経緯をなす場合もあります。不動産は一物一権主義であり、その物件に所有権を重ねては成立し得ません。また、その物件はそれぞれが異なった特異性をもっています。従って不動産取引においても多種多様な取引事例があり、時代の流れによっても変わっていくようです。このようなことを前提に、不動産の契約体制にはいるまでの条件整備が最も重要なことであり、多様さの背後にある最も基本的な要件を思索することとした。その目的は、売主・買主の当事者が相互理解のうえ、安心して売買契約の締詰ができるように導くためのものです。多くの先駆者に今まで導かれてきて、実務上または経験上なされてきた事柄をとりまとめたに過ぎないが、不動産取取引の本質をとらえたものと確信して、不動産取引要領書とした。
昨今、電子情報網(IT)が発達し、情報は豊富になっているが、本来は、現物確認と相互理解が大前提であって情報交換だけで決められるものではありません。実行段階においては、更なる決め事を明確に認識された後、署名押印することです。
不動産取引マニュアル
[一般取引にかかる要領書]
1.目的 本書は不動産取引上の手続き等について、売主または買主が実施する事項を具体的に述べたものであり、不動産仲介業者が円滑に取引業務を遂行できるようにすることを目的とする
2.適用範囲 主に鹿児島県霧島市内の土地取引に関して適用する
3.土地の売主が契約又は引渡しまでに準備する書類等
(1)土地の所在を明示する書類として
@所有地の登記済権利証
A所有地の登記簿謄本(出来る限り新しいもの)
B所有地の地積図及び字図
Cその他評価証明書や見取図
(2)所有者または売主等を明確にするための書類として
@所有者の登記済権利証
A売主及び所有者の住民票(法人にあっては資格証明書)
B登記名義人以外の者が売主となる場合は、その売主となる原因を示す売買契約書または委任契約証書等(中間省略の登記は原則できません)
C本人確認の証明書(運転免許証など)
(3)所有権移転登記申請するための書類として
@登記名義人の印鑑証明書及び住民票
A登記名義人の登記済権利証
B仮登記のある場合は仮登記済権利証
C抵当権設定のある場合は抵当権抹消書類
D登記名議人の実印または実印を押印した登記用委任状
E仮登記、抵当権設定等がある場合は、権利者の放棄又は抹消の実印を押印した登記委任状等
(4)その他(特別な取引に関して)
@代理行為の場合
A相続して売却する場合
B小作権または耕作権のある場合
C地上権だけの場合
・このような場合は別途経緯を証する書類が必要であったり、相続登記等を事前に実行する必要もあります。
4.土地の買主が契約するために準備する書類等
(1)買主を明示する書類として
@買主の住民票(法人にあっては資格証明書)
A土地の利用方法の概略を示す書類(法人にあっては謄本及び定款等)
(2)所有権移転登記申請するための書類として
@買主の認印
A法人にあっては会社印
・買主は権利を受ける立場であるため、実印は要しないができる限り、実印で取り交わした方がよい。
5.土地の買主(または双方連名で)が実施しなければならない事項(この場合、おおかた買主側の土地利用方法が問われるようである)
(1)面積によって売買契約後に届出を要する場合
都市計画区域内は5000平方メートル以上、その外の区域は10000平方メートル以上となる土地取引については国土利用計画法の事前・事後の届出を要します。
注)都市計画区域内の取引においては、公拡法の事前届出が必要となります。
(2)面積によって、開発行為の申請で区分される場合
@開発行為に対して、霧島市の土地利用対策要綱としての一定基準がある。この場合、1000平方メートル以上3000平方メートル未満の開発行為については土地利用協議書を申請して事前協議のうえ、霧島市の開発申請を行わなければなりません。
A3000平方メートル以上の開発を前提とする土地利用目的で土地取引する場合、市の土地利用協議は勿論であるが、県の開発行為にかかる申請を要します。この場合、道路関係、緑地、公園、消火栓等の多くの基準を満足することが条件となり、都市計画法による未線引区域の扱いと同等の事前協議が必要となります。
(3)農地法について
@農業振興地域内に存する農地は専用農地であるから、農地以外の転用は困難である。主要道路に面して、宅地利用するに適した場所にあっても同様である。また現況を問わず、山林等であってもこの地域に指定されている所もあります。
A農業振興地域以外の地域にある農地の取引は 4条(自己転用)、5条(転売)申請となる一般農地の場合は、買主の利用目的に合わせて、双方連名で市経由で県知事へ申請する。この場合の申請実施要領は次のとおりです。
1.霧島市農政課や農業委員会などでで転用可能であることを確認する
2.農地法の許可を前提に、売買契約書を取り交す。
3.農地法第5条申請に着手 (以下3の要領を述べる)
a.排水の負担金の精算(精算金のある場合)
b.土地改良負担金の精算
c.公共用地との境界確定
d.地積再現及び実測確定
e.民民・官民の境界立会
f.水道、排水、建物、宅地造成完了図面等土地利用計画の作成
g.隣接農地の所有者及び耕作者の同意書を要する場合もある
h.毎月末日までに申請を完了する。
4.農業委員会の現地調査及び立会を要する場合もあります。
5.農業委員の現地調査で問題なければ、霧島市農業委員会の審査を経て当月末日頃許可証が交付されます。
6.その許可証を受領して、1週間位の間に土地代金の決済と同時に引渡しを終了する。その時点から、宅地造成等の開発行為に着手できることとなります。
(4)その他の制限
@土地区画整理法により仮換地指定を受けた場合、土地区画整理区域内の土地取引については、土地区画整理が完了するまでの間、土地の分合筆、地目変更等ができないことがあります。区画の街区が設定された後に可能となります。但し、土地区画整理組合等が公用で実施する分についてはこの限りでない。
A用途制限による容積率・建蔽率制限について、霧島市は用途地域別に制限されるが、例外的に基本容積率にかかわらず、次のような算出法で、小さい方に制限されます。また、用途地域の指定のない地域にも特定基準値を設定しています。(建築制限区域もある)
* 建物延面積 / 敷地面積 = 容積率
* 住居系地域 : 道路幅(メートル) × 4 / 10 以下
* その他の地域 : 道路幅(メートル) × 6 / 10 以下
※ 前面道路が2つ以上あるときは幅員が最大なものとなる。
建築平面積 / 敷地面積 = 建蔽率
用途地域内
☆第1種低層・第2種低層: 50%〜60%
☆第1種中高層・第2種中高層・第1種住居・第2種住居・準住居: 60%
☆近商・商業 80%
☆準工・工業 60%
☆その他 70%
※ 建築目的で取引する場合は、この項を十分見当する必要があります。
媒介業務のあり方のちがい
イ.農地を媒介する場合
当然宅地化の目的で売買されるので、給排水等の諸設備から道路関係及び隣接地との問題などがあり、数多くのことを解決していかなければならない。この点から考えると、取引に時間がかかり、物件調査も既存宅地の約2倍以上のコストがかかる。しかし、顧客のニーズに合わせて、一般住宅地以上の面積を確保する為には、農地の用地買収から手がけて、価格調整を行うことにより、コスト低減を計りたい。
ロ.農地法の許可を得て完成した、地目が宅地となった土地の分譲を行う場合
目的として宅地分譲であるので、用途にあった住宅用地に限って販売する必要がある。もし住宅でなく、アパート建築等になる場合は、前述イ.の段階に遡って、土地利用計画変更の届出等が必要となる。これは、隣接地に農地がある場合など、環境変化により近隣に迷惑をかけるおそれがあるので問題になりかねない。従って道義的立場から判断して、その用地が土地利用目的に最も適していることを配慮したうえ媒介すべきである。
注)農地法に抵触する場合もあります。
ハ.既存宅地を媒介する場合
500平方メートル以下位の宅地または宅地建物を仲介することは、最も理想的業務である。但し建物がある場合は目に見えない瑕疵がないよう十分調査する必要がある。殆どが従物を含めて現状引渡しとなる。また、宅地だけの取引の場合、従前の建物の滅失登記がなされているか、埋蔵物文化財保護区域内ではないか・土壌汚染がないか・地耐力に問題ないかなど、地歴等を十分調査することが必要である。
ニ.商用地を媒介する場合 (地目は問わず)
多くの条件を満足させなければならないので、市場性・交通量・熱効率・方向・排水処理に加えて、地域の活性化・相乗効果・特異性など、その用地を最有効利用できるよう多重な方向から調査検討することを要する。通常買主側で見当される分野であるが、仲介業者の立場からも判断して、適用地であるかどうか見出して検討するべきである。特に、県外等の土地感のない顧客に対しての助言は効果的となろう。また商用地(工場等を含む)などは、買主側が事業を実施してみないと解らない場合も多いので近い将来、用地拡張のでき得る余地のある物件が望ましい。
マルシン地研
〒899-4332 鹿児島県霧島市国分中央5-17-34
Tel 0995-46-5963(代) Fax 0995-46-5964