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 わが国におけるかつお節の歴史は古く、古代にまでさかのぼります。最初にかつお節らしきものが文献に登場するのは『古事記』においてで、「堅魚」の記述がそれにあたります。当時は単にカツオを日に干しただけだったようです。その後、カツオを煮る作業が加わり、「煮堅魚」「堅魚煎汁」として、奈良時代の『大宝律令』や平安時代の『延喜式』の中に登場します。また、室町時代には文献に「かつおぶし」の記載が見られることから、この時代に燻乾法が考案され、かつお節としての利用が始まったことが推測されます。さらに戦国時代には、その名が「勝男武士」に通じるところから縁起物として重用され、また兵食としても利用されました。
 かつお節が本格的に製造されるようになるのは江戸時代に入ってからです。カビ付けの技術は時代とともに改良が進み、明治末期には4〜6番のカビ付けをした本枯れ節が東日本に出現し、全国に普及していきました。しかし、かつお節は高価であったために、ソウダガツオ、マグロ、サバなどを利用した節製品もつくられるようになり、現在に至っています。
 このような歴史の中で、鹿児島県もまた、古くからかつお節づくりが大変盛んでした。書物の『種子島家譜』の中に、花鰹の文字がわが国で最初に見られることからも、それがよくわかります。
品質が高まるのは宝永年間(1704-1711)頃からで、紀州の森弥兵衛によって鹿籠(枕崎)に紀州の燻乾法が伝えられてからとされます。
 当時の製法は今と違って独特で、帆船で南西諸島に出漁すると、「沖いで」といって、船上で半製品にしていました。そのあと、口永良部島、黒島、中之島などで、「島いで」といって、仮設の小屋を設けて加工するようになりました。冷蔵技術がなかったことから生み出された方法ですが、質の悪さは否めず、そこで大正時代に入ってから改善がはかられるようになりました。積極的に伝習所をつくり、他県から指導者を招くなどして、技術者の養成に力が注がれたのです。その結果、製品も著しく改善され、薩摩の節の名声も高まりました。
 山川を主な産地とする薩摩の節は、丁寧なつくりによる品質の良さからその名を全国に知られます。現在、当地で生産されるかつお節の1割は本枯れ節で、関東方面に出荷され、8割は荒節として関西方面に送られています。
この地はわが国の最南に位置し、流通面では不利な条件を強いられますが、それを品質の良さではね返したところに大きな特徴があります。
かつお節は4〜6ヶ月かけ、いくつもの工程を経てつくられます。
[生切り]
節となるサイズに切り分ける作業のことです。一般に、3.5kg以上のものは本節に、以下のものは亀節に使用されます。頭や内臓を除去した後、亀節は3枚におろし、本節はさらに各身を血合いを境に2つに切り分けます。生切りは仕上げの節の形を決定するうえで重要な作業です。

[煮熟]
次に、おろした身を煮ます。加熱による急激な身の収縮で亀裂ができるのを防ぐため、特に鮮度の良いカツオは釜入れ時の湯温を低く抑えます。所要時間は本節で2時間15分〜2時間40分、亀節で2時間15〜2時間30分。

[骨抜き・修繕]
煮熟後骨を抜き、「もみ付け」がほどこされます。もみとは、カツオの背骨などに付いた身をすり身にしたもので、これを骨抜き時に生じた隙間や亀裂に竹ベラで埋め込みます。こうすることによってカビ付け時のカビの侵入が防止されます。

[焙乾]
燻す作業です。最初に行われるのを「一番火」といい、「二番火」以降の「間歇焙乾」と区別して特に「水抜き焙乾」と呼びます。焙乾は亀節だと6〜8回、本節だと10〜15回繰り返されます。こうしてできたのが荒節です。

[表面削り・修正]
表面に付着したタール分と、焙乾中ににじみでた脂肪分を、デバという小刀で削りとります。こうして裸節ができあがります。

[カビ付け]
水分を減少させ、香味を抜けないようにする作業で、裸節をムロに入れ3〜4週間をかけて行われます。最初に発生したカビを一番カビといい、同様に二番カビ、三番カビ、四番カビがつけられます。こうして仕上げられたのが本枯れ節です。
薩摩の節はその大半が最終的に日本料理店や蕎麦店などで購入され、料理のだしとして使用されます。
しかし、だしと一口にいっても、使われるかつお節の種類は微妙に異なります。その理由は、それぞれの地域における食文化が異なるからです。基本的に関東ではカビ付けをしたものが、関西以西ではカビ付けをしないものが好まれる傾向にあります。
いずれにせよ、日本料理の味の基本をなすものは、なんといってもだしです。だしが料理のすべてを決定づけるといっても過言ではありません。日本料理の場合、だしの材料の中核をなすのはかつお節です。つまり、だしの良し悪しはかつお節にかかっているといってもいいわけです。そこで、特に高級料理店ではだしに最大限の神経が払われ、その結果、選りすぐりの最良の本枯れ節が使われます。これなくして、あの澄んだ、それでいて美味な味はつくりだせないのです。
かつては、このような店を訪れる人の客層はごく限られていたのですが、今やその層は広がりをみせています。それは、グルメブームを背景に、一般消費者のだしに対する本物志向が高まったことによります。それは蕎麦店においても同じで、極上のおいしさを提供する店には行列ができるほどです。このような店は、だしに最良のかつお節を使っており、そのこだわりがおいしいものを追求する消費者の満足度を刺激したのです。さらに、一般の消費者の中にも、味にこだわるあまり、家庭でそのおいしさをつくりだそうと、上質のかつお節を求め、問屋にまで足を運ぶ人がいます。しかもその数は目立って増えています。
このように、今は、グルメブームがより進んで、本物にこだわる時代へと移行しつつあります。それだけにすぐれた上質のかつお節が求められ、山川を産地とする薩摩の節は、その代表として真っ先に挙げられます。
山川産のかつお節のうち、本枯れ節は主に関東へ、裸節は主に関西に、問屋を通して出荷されます。大都市圏の問屋の中には、節だけでなく、それを自分の店で削って販売するところも多くみられ、前夜に得意先の料理店などから注文を受けると、その日使用する分を要望ごとに削って混合し、毎日配達します。そのような専門店のない地方の場合だと、多くの料理店では、削りたてをチッソガス注入してパック詰めにしたものを先の問屋から取り寄せるケースが多いようです。
いずれにしても、現代人の高級志向のニーズに応えられるかつお節として、山川産の節は全国で使用されています。
かつお節は世界に類をみない日本独特の食品です。原魚はカツオで、約36万トンの年間漁獲高のうち約6割がかつお節づくりに使用されます。そして、その約半数が薩摩の節の主要産地である枕崎、山川で使われています。
かつお節の他に、同様の方法で節になる魚としては、マグロ、サバ、ムロアジなどがあります。なお、カツオに関しては、近年に入り、インドネシアを始めとする国々からの輸入ものも増えていて、節づくりに利用されています。
漁法は今までは1本釣りが主体でしたが、漁船の大型化や技術の進歩にともなって、遠洋漁業による大型巻網漁もまた盛んになっています。
カツオは回遊魚に属します。赤道をはさんで北緯40度から南緯40度の暖海を回遊し、その一部が小イワシ類などのエサを求めて2月下旬頃九州南方の海域にやってきます。特にこのあたりは22〜23度の、カツオがもっとも好む水温であるため、大群が押し寄せます。その後、黒潮にのって日本列島沿岸を北上し、10月頃また南下を始めます。昔は、かつお節の呼び名もカツオの漁獲時期によって変化したものです。4〜7月にとれたカツオを原料としたものは春節または夏節、8〜10月にとれるものを原料とした場合は秋節と呼ばれていました。
生食用のカツオと節に加工されるカツオとの違いですが、これは脂ののり具合にあります。生食用は脂がのっているほどおいしいものですが、節にはむしろ、脂がのりすぎず少なすぎず、適当であることが条件とされ、1〜2パーセントの脂肪含有量のものが最良とされます。
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