:蘇鉄


蘇鉄(ソテツ)
(Cycas revoluta,thunberg)

蘇鉄(雄株)分類
ソテツ門(Cycadales,Engler),ソテツ科(Cycadacene,Lindley)に属する植物の総称であうる。
3亜科、5続、118種、約30変種からなる化石植物で、1億5千万年以前のジュラ紀(Jurassic period)に全盛を極めて繁茂したようで多くの化石が発見されている。
ソテツ門の植物は、シダ類の次に現れたもので、顕花植物の裸子植物亜部に属し、隠花植物と顕花植物との間に位置する特殊な存在で、前時代の生命を今まで持続してきた生きた標本である。
ソテツ類を分類すると、ソテツ(Cycas revoluta,thunberg)はソテツ属(Cycas,Linn)9種の中の1種である。
分布
ソテツ属(Cycas)は日本、台湾、タイ、フィリピン、グアム、インドネシア、オーストラリア、ニューギニア、マラッカ、モザンビークの範囲に分布し、ソテツ(Cycas revoluta,Thunberg)は日本の南西諸島(鹿児島県と沖縄県にまたがる列島場の諸島全体で、薩南初冬と琉球諸島に大別される)に原産し、その中でも徳之島(東経129度,北緯27.7度)、奄美大島(東経130度,北緯28.8度)が主産地であり、沖永良部島(東経128.8度,北緯27.3度)と与論島(東経128.5度,北緯26.9度)である。

ソテツあれこれ

蘇鉄(苗)成長の遅い植物
鱗片は葉のつけねの跡です。ソテツは1年間に2鱗片分(2〜4cm)しか成長しません。ときには葉をつけない年もあります。幹が1m成長するのに40年以上かかるといわれています。
鋭いとげ、分裂した厚い葉
葉の崎が鋭くとがり葉の表面にあるワックスの層が厚くなることで乾燥に耐え、深く分かれて葉の面積を小さくすることで強風地に適した形になっています。
サンゴ根
ランソウ植物のシアノバクテリアが根に住んでいるため、サンゴみたいに太くなりました。シアノバクテリアは空気から肥料分をつくり、ソテツは葉でデンプンをつくり、それらをお互いに利用しあうことでやせ地でも生きていけるのです。
蘇鉄ソテツを食べるチョウの幼虫−ソテツシジミ
ソテツは毒を持つため、日本には食害する動物はほとんどいません。たまに、新芽にカイガラムシ、根にシロアリがつき、害を与えることがあります。1992年頃に沖縄でソテツシジミが大量発生して新芽が食べられ、大きな被害がでたこともあります。
雄株と雌株
種子を持つ植物は高等になるにつれ、雄株と雌株に分かれていたものから、1つの株に雄花と雌花を持つもの、1つの花に雌しべも雄しべも持つものへと性がなくなっていく傾向があります。イチョウやソテツは雄株、雌株に分かれるのがふつうです。
花粉の運び屋 風、虫?
ソテツの雄花は、石垣島あたりでは4月上旬、茨城県では7月頃上がるといわれています。ソテツの花粉を運ぶのは、かつては風ばかりだといわれていましたが、最近、昆虫も運ぶのではないかという報告が注目を浴びています。
蘇鉄種子の運び屋は
ソテツの種は重いため、風や小さな動物の力を借りて広がるということは考えにくく、雌株から落ちたものが転がることで分布域が広がるのだといわれています。カラスがいたずらで赤い実をくわえて運ぶのが観察されていることから、案外カラスが広げているのかもしれません。
名前の由来−鉄でよみがえる
ソテツは弱ってきたとき、幹に鉄くぎを打ったり根に金くずをやると元気になることから「鉄でよみがえる」という意味から蘇鉄という名がつきました。中国でも「鉄樹」という名でよばれます。
精子をつくる植物
ソテツやイチョウは精子をつくる植物で、日本で精子が確認されました。
ソテツはどうして残ったか
ソテツの仲間は年間に数cmしかのびないため、他の樹木との競争に負けてしまいがちです。それでも生き残る方法として、風の強いところややせ地で生きることで、他の樹木との競争を少なくして、どうにか生き延びてきました。

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