総合会資料 第五回 1999年12月

◎来年度は各学年20時間の「総合的な学習の時間」が割り当てられると言う。

 では、中身をどうするか。
 「総合的な学習の時間」は生徒が自主的に課題を見つけさせようという方向もあるが、何もないところから見つけることは無理である。大学生の卒論だって教授の課題設定があってはじめてできるのである。これは、不可能と思う。
 とりあえず、生徒の関心や地域の要望という面もあるが、アンケートなどをとってから考える必要があるので、教師サイドで考えてみたい。
 二年部では、第三学年の内容を考えることとなった。
 生徒達は卒業後、全員高校に進学するわけではない。
 また、高校によっても教科の内容、大学進学のみに重点を置くところもある。
 ということは、今のうちに、義務教育のうちに教えておかなければならない内容があるのではないか。
「生きる力」として、すぐに社会にでても役立つような技術や知識を教えるべきではないか。そして、少年の命を軽んじる傾向に歯止めをかける意味でも「命」を柱に据えた内容が必要ではないか。今まで、その方面の内容が当たり前とされすぎて教えてこなかった現実があると考える。
 そこで、「命の時間」「生きる時間」「将来学習」などとして設定してはどうか。

1 性教育 3〜4時間(各学年)今まで学活に位置づけられていたが、あまり実施さ
                   れてはいなかった。ここで、正しい性知識を教えるべ
                   きではないか。卒業後男女交際で、性病や妊娠、避
                   妊の知識もないままに性交が行われている事実もあ
                   る。体育科、理科との調整が必要。

2 人権 3〜4時間(各学年)同和教育−大都会に出ていく生徒もいるだろう。その
                 とき、部落差別、朝鮮人、アイヌ民族差別の現実を知る
                 のではないだろうか。そのために学ぶことは大切ではな
                 いか。鹿児島でも島差別も根強い。いじめについて、3
                 にも関わってくるが、法的な部分から迫っても良いと思
                 う。社会科との調整が必要。

3 法律 1〜2時間 法の意識もないままに万引きや暴力をする。卒業後、無職有職
            少年として社会に生きる場合、法律でどう裁かれていくのか。身近
            にある法律は何か。被害者、加害者の人生はどうなっていくか。
            などを意識させるべきではないか。陪審員になったつもりで、ある
            少年事件について話し合ってもいい。

4 国際理解 2〜3時間 二年生の修学旅行の前後の学習としての平和学習。どんな
               理由があれ、戦争は命を奪う行為の認識。それを受けて、さら
               に、将来を考える。現在の国際関係を元に、戦争問題、難民問
               題が実際起こったとして、隣国を今のうちに理解する必要がある
               のではないか。特に九州は朝鮮戦争、中台戦争、中国内戦など
               が起これば、難民の上陸が考えられる。英会話も必要だが、中
               国語、朝鮮語のあいさつや簡単な会話、慣習、生活も学んでお
               くと良いのでは。英語科とも調整する必要がある。

5 エネルギー 2〜3時間 現在のエネルギーについて、未来のエネルギーについて
                学ぶ。特に原子力についても考えていく必要がある。理科と
                との調整が必要。

6 情報 1〜2時間+α 情報の基礎的内容は技術にまかせるとして、インターネット
               を活用しての情報収集、ワープロや表計算などのソフトを活用
               してのデータ処理。まとめとしてプレゼンテーションソフトの活
               用やホームページ作成など、上記の内容の手段として使える
               と考える。技術で教えきれない内容があれば、情報として時
               間をとってもいい。法としての著作権とか。技術科との調整が
               必要。

7 福祉 5〜10時間 福祉を受ける人たちはどんな気持ちか。我々の押しつけになっ
             ていないか。などから考え、施設訪問などの体験と同時に、視覚、
             聴覚、車椅子などの障害体験、点字、手話などの実習をしていく。

8 芸術タイム (全学年で20時間くらい)
        音楽コンクール、スケッチ大会、鑑賞教室を「総合的な学習の時間」に入れ
       ていってはどうか。活動の前後に、作曲の時間、練習時間、企画の時間など
       の事前にできること。事後の感想を書く時間やまとめる時間、調べる時間、
       鑑賞時間などを作っていけばよいのではないか。、
 
9 教師のフリータイム 10時間〜20時間
            現在、学活で行事のフォローをする時間が多く、進路や話し合いなど
           がうまくできない状態にある。設営や教師オリジナルの授業プログラム
           を実施する時間が必要だと思う。特に初期のうちは、内容が定まらない
           ので、「柱」に即した教師の工夫された「総合的な学習の時間」の授業
           をしていき、実践を蓄積していく必要がある。

10 体験学習 3〜8までの内容にいろいろな活動を入れていく。お仕着せの体験主義
        に陥らずに、本当の体験ができることが望ましい。

 これらをたたき台として授業内容を作っていけないだろうか。時間とテーマ(例 性教育3時間 思春期)だけ決めて、細かい内容は担当教師が作り、他の教師に検討してもらっても良いのではないか。地域や生徒の要望の授業も検討していくべきだろう。
 そのようにして、所属中学校独自のものができていくと考える。