{作りやすい洋蘭}

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2002-11-04


【自生と栽培の環境】

洋蘭には数多くの種類がありますが、似たものをグループ分けする事ができます。植物分類学上の属による分け方・・・形態を主として分類され、栽培環境も似ていることが多い、グループ毎に栽培しやすい物もありますが、中には、栽培条件の異なる物もあります。一般的に作りやすい属として、シンビジューム、デンドロビューム、パフィオペディラムなどがありますが、いずれも東南アジアのモンスーン地帯と言われる所に自生している種類です。日本の気候にあっていることが、作りやすい原因となっています。夏は暑く、冬は寒い気候にあわせて、春から夏に生育し、秋に株の生育が完成して、冬に休眠するパターンが大切です。そして、一般的には、冬の低温に耐えられるほど、作りやすい種類と思われます。冬場に温度を少し高くすることで、カトレヤも作りやすい属に入ります。作りやすい洋蘭とは、温度は勿論のことですが、湿度、光線などの自然環境が、日本の自然に似ていることが多いものを言う。

【温 度】
作りやすい洋蘭と言うと、低温に耐えられることが第一にあげられます。熱帯性の一種である洋蘭は、ある程度以下の温度になると生育が悪くなったり、時には、枯れてしまいます。自分の栽培温度が高いか、低いかによって、作りやすい種類が変わってきます。温度は、人工的に調節することができるので、特別に高い温度を必要とする種類以外は温室などの設備によって作りやすくすることができます。春→夏→秋には、温度不足の心配はありません。むしろ夏の高温が、難しい原因となる種類さえもあります。シンビジュームやデンドロビュームの多くは、冬の最低温度が5〜10℃で栽培できます。温度の低いところでは、水を控えて、休眠させれば冬を越すことができます。これらの中には、日本に自生する種類もあり、その交配種は、さらに寒さに強く、最も作りやすい種類と言えます。キンリョウヘンと交配された小型のシンビジュームや、セッコクと交配されたデンドロビュームなどもあります。カトレヤも10℃位の最低温度が保てれば、栽培可能で(但し、10℃以下では、新芽や根の生育が遅れます。)、一般的な性質は、丈夫で作りやすい種類に入ります。

【湿 度】
洋蘭は、湿度の高いことを好む性質があります。空気が乾いてきたときに湿度を高くすることは、中々難しいものです。乾燥に強いと言う事は、作りやすいと言うことにも成ります。室内栽培では、あまり水をかけることもできないので、特に冬場の室内の乾燥は著しいものがあります。そのために乾燥に強い種類が求められます。一般的には、葉が厚く、バルブが太く、かたい感じの容姿をした種類が一時的な乾燥に強いと言えます。この他に、休眠している株も乾燥には耐える性質が強いので、乾燥して環境での栽培にも適しています。冬以外の季節は、屋外の自然の空気中の湿度環境で栽培するため、特別に考える必要はありませんが、地域や栽培環境で乾燥気味な所では、夏の生育期にも、乾燥に強い種類を栽培すると良いでしょう。パフィオは、湿度の高いところを好む種類が多いので、少し作りにくい種類となります。湿度の点では、カトレヤが強く、比較的乾燥した室内でも栽培することができます。デンドロビュームやシンビジュームには、この点でも適した種類が多く含まれます。

【日当たり 】
洋蘭は、半日陰で生育する植物なので、あまり強い光線は必要ありませんが良い生育をさせるには、かなりの日に当てることが大切です。一般的に50%の日除けをおこなって栽培することが多いが、日の当り時間が長いほど良いと言われます。室内や小温室では、充分な日当たりが取れないことも多いので、あまり多くの日当たりを必要としない種類が作りやすい事になります。日当たりの悪いところでの栽培には、弱光線又は短時間の日射で栽培できる種類が作りやすいことになります。パフィオペディラムは、この点では作りやすいことになります。シンビジュームは強い光線で栽培するほうが花つきは良く、弱い光線でも栽培することはできます。デンドロビュームやカトレヤは、かなりの光線が必要なので、日陰の多いところでは、作りにくい種類となります。蛍光灯の照射で不足する光を補って、パフィオペディルム等を栽培する例もあります。光線が不足すると、葉は薄く、茎は細くなり、徒長した弱々しい株となるので、花が咲かなくなります。

【栽培条件】
自分の栽培環境にあった種類を選ぶこと。いくら気に入った花でも、栽培条件があわなければ、咲かせることはできないばかりでなく、枯らしてしまいます。どうしても栽培したいなら、環境を作ってから栽培すること。整えられなかったら、低温で栽培できる種類を選ぶこと。


【カトレヤ】
中温カトレヤ類には、カトレヤ属、ブラサボラ属、ソフロニチス属、レリア属の4属が含まれます。原産地はいずれも南米大陸ですが、生育地にはかなりの標高差があり、品種によって適応する環境は異なっています。一般的に温暖な気候を好み、10℃以下では新芽や根の生育が遅れるので、冬には、暖房が必要になります。逆に30℃以上でも生育が衰えがちになります。夏には風通しの良い屋外に置き、葉水や周囲に打ち水をして温度を下げることに努めましょう。梅雨時や秋の長雨に当てると病気が発生しやすくなるため、雨に当たらない場所に移動しまします。水やりも植え込み材料の表面が乾いたら、たっぷりやる程度にします。他の蘭より葉焼けは生じ難いが、冬期に室内の弱い光線下で栽培し、春に急に直射日光に当てると日焼けを起こす場合があります。春先は30%程度の遮光をして徐々に慣らすと良いでしょう。夏は50%の遮光をすると間違いないでしょう。施肥は過度行うと根が痛むため、春の成長期に油粕と骨粉を混ぜて作った団子状の置き費をすると良い。その他の時期は規定倍数の液肥を月に1〜2回与えましょう。(液体肥料の成分比によって違いますが、5、000倍程度の薄い液肥を潅水代わりにやっても良い結果がでます。)


【デンドロビューム】

ノビル系:低温 ファレノプシス系:中温〜高温ヒマラヤからオーストラリアまで、1,000種以上が分布し、改良種にDen.ノビル系とDen.ファレノプシス系があります。ノビル系はビルマ北部やインド北東部、ヒマラヤ山麓一帯の海抜1,000m以上の高冷地で、日当たりの良い樹の枝に着生しています。つまり、低温に強く、日当りの良い風通しの良い場所、現地は、雨季と乾期に分かれ、雨の多い時に生育し、乾燥する時に休眠します。春〜夏の生育期には、水をたっぷり与え、秋から徐々に減らし、冬には乾いたら水を与える。自生地の自然環境にあわせた栽培管理を心がける。花芽は10月下旬から2週間程度10℃くらいの温度にあわせると形成されます。晩秋の入室は急がないようにする。ファレノプシス系の原産地はフィリピン、ニューギニア方面(ハワイで品種改良が進んだ。)雨季、乾期の区別が無い、一年中気候の変化無い。冬場でも18℃、強光、液肥、置肥は年間を通して与える。

【シンビジューム】
低温ヒマラヤからオーストラアまで約60種が分布。大型の交配親はインド北部げ原産で高温を好みます。中・小型は東洋系のシンビジュームなので低温でも栽培ができます。春は屋外でたっぷりと水を与え、他の蘭と比べると肥料を好む、特に3月下旬〜7月上旬に置肥を与え、液肥は夏の終わり頃まで与える。秋は、徐々に水を減らし施肥も行わない。屋温が10℃くらいまでは屋外、花を咲かせるには10℃〜13℃は欲しい。昼間25℃以上、夜15℃以上の高温が続くと花芽が痛みます。生育期に光、水、肥料不足にならないようにすることが必要。

※ 温度・・・・・低温:5℃〜10℃ 中温:10℃〜15℃  高温:15℃〜20℃

                                                              鹿児島洋らん会 
                                                               by 岩崎輝行



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