2002年3・4月




 今日は何だか良い天気だ。
 悟空は何気なく窓を開けてみた。
 途端に、その瞬間を待ちかねていたような緑の風が ぶわっ と家の中に吹き込んで来た。
「良い風だなぁ」
 そう呟きながら窓の外を見ると、チチが洗濯物を干している。
その背中を眺めているだけで嬉しくなる。楽しくなる。顔がにやけてしまう。
しばらく頬杖を付いてそんな思いに浸っていたが、ふと思い付いたように窓に手を掛けて叫んだ。
「おーい。チチ!オラちょっと散歩してくるからな〜」
 その声に振り返ったチチは目を丸くして走ってきた。
「これ!悟空さ!窓から出入りしちゃダメだって何度言ったら判るだ!!」
「あ!悪ぃ悪ぃ!」
 チチが窓に辿り着くのと、筋斗雲が悟空をさらって行くのとほぼ同時。
 いや。 少しだけ筋斗雲の方が早かったようだ。
 あっというまに空の上。
「行ってくるぞ〜〜〜」
「これ〜!悟空さ〜!」
 一瞬でチチの声は訊こえなくなる。姿も見えなくなる。
 筋斗雲の上に座っていると全身に風を感じる。
 もちろん、自分の力で飛ぶことだって出来るが、筋斗雲に全てを預けて飛ぶこの時間が悟空は好きだった。
 まだ飛べなかった頃。
 初めて筋斗雲に乗ったとき、その夜は驚きと感動で眠れなかった。
そのときの気持ちはずっとずっと消えずに残っている。
「この匂いはどっからくんのかなぁ?」
 さっきから風の中に緑の匂いが感じられた。
 目を閉じて鼻をひくひくさせる。
 筋斗雲はそんな悟空の気持ちを理解したように少しずつ高度を下げ始める。
「ん?どした、筋斗雲?」
 筋斗雲の様子に気付いて頭を巡らせた悟空は、眼下に広がる緑に目を奪われた。
「うわ〜。これか〜〜〜」
 その声にスピードを落とした筋斗雲の上で悟空は腹這いになって頬杖を付く。
 しばらくその格好で緑を眺めていた。
「よし!降りるぞ!」
 突然そう叫んだ悟空は、筋斗雲の上から飛び降りた。
 突拍子もない悟空の行動には慣れている筋斗雲も、慌ててあとを追って降下する。
 数秒で悟空は緑の中にいた。



 初めて歩く緑の中。
 木々を避けて筋斗雲は緑の上から悟空の後を付いて行く。
「すげー匂いだなぁ」
 そう呟いて辺りを見回しながら歩く。
 緑の隙間から光が射し込んでいた。
「葉っぱが透けてるぞ。キレーだなぁ」
 緑の中を歩くのは初めてじゃないけれど、葉っぱと太陽の光のコントラストが妙に綺麗で嬉しかった。
 こんな景色もあるんだと考えた途端。
「……チチも連れてくりゃよかった」
 不意にそう思った。
 太陽の中で働くチチを見ているのは楽しかったけど、傍にいて同じ時間を過ごせたら、もっともっと楽しいに違いない。
「帰ろ」
 最初は小走りで、次第にスピードが上がって全力で緑の中を駆け抜けた。
 早く帰ってチチを連れてこよう。
 こんなにキレイな緑を1人で見てるのはもったいない!
 近付いてきた筋斗雲に飛び乗る悟空。
 その背中を微笑んでいるようにきらきらと輝く緑が見送っている。

〈おわり〉

                                        BY:大沢










春に芽吹いてる花を見上げる悟空さんを描いてみたんですわ。
うふふ。なんて
乙女チックな私♪(殴!)

ただ。
メインたるべき花が綺麗に描けなかったのが難点;;
しまった;; 自分、男ばっか描いてるもんだから、花苦手なんじゃん;;
って事に改めて気がついた一品でした。(T-T)

・・・・もういいや;;(放置)

結局。
この絵の中で、一番お客様の目を引いたのは
悟空さんの鎖骨でした。

・・・・腐ってるよ。みんな。(爆笑)

んで?
悟空さん一人しか描いてないのに。
めいっぱい悟チチストーリーに仕上げてくれた愛人大沢に乾杯\(*^▽^*)/
・・・流石だな。(ナニが)






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